分かっているけど受け入れられない ページ33
「うん……うん、分かってる。……ありがと、じゃーね」
トシに暫く帰れないという旨の電話をして、切る。
それからまたお姉ちゃんの眠る病室の前に戻ったけれど、彼女は電話をする前と全く変わらない様子で目を閉じていた。
新八によると、昨日までは普通通りに生活していたお姉ちゃんが今日急に、激しく咳き込んだかと思うと倒れてしまったのだと言う。
勿論すぐに救急車を呼びここに運んでもらったらしいが、それ以降彼女の意識が戻っていないらしい。
病室の前の長椅子に座る銀ちゃんの横に、私も腰掛ける。
時刻は夜の10時。神楽と新八は帰し、私と銀ちゃんでお姉ちゃんの様子を見ていた。
ミツバ姉の時にはぐーすか寝ていた銀ちゃんだが、今は何も言わずに、ただガラス1枚隔てたそこをじっと見つめている。
「銀ちゃん、何か食べたい物ある? お昼ご飯も夜ご飯も食べてないでしょ、下で買ってくるよ」
「……いい。今、腹減ってねェ。自分のだけ買ってこい」
「……そう」
私はそう言ったきり、立ち上がらなかった。
私もお腹が空いているワケでは無いのだ。何故か全く食欲が沸かない。
そんな私に、銀ちゃんはやっぱり何も言わなかった。
分かってた。
分かってたんだよ、いずれこうなるって事は。
他でもない、今あそこで眠っているお姉ちゃんが言っていたんだから。
『私ね、死ぬの。遅くても、次の春が来る前に』
……でもさ、やっぱり嫌だよ。
また笑顔を見たい。
またお喋りしたい。
また撫でてほしい。
もっとずっと、一緒に居たい。
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ゆず(プロフ) - りさん» ありがとうございます! バラガキ篇大好きなので、ドンドン更新していけたらと思います。全力で頑張ります! (2020年4月23日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
り - 続編おめでとうございます!!これからも頑張ってください全力で応援してます!! (2020年4月23日 19時) (レス) id: e466fb159c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年4月23日 12時