からの不穏 ページ32
トシの部屋に道着のまま走って行くと、やっぱり着信音はとうに切れていた。
一応と思って着信履歴を見てみると、1番上にあったのは何となく見た事のある番号。
何の番号だっけ、と考えて、ふと閃いた。
……大江戸病院の番号だ。
何でそんな所からかかってきたんだろう、と思ったけれど、よく考えたら私の携帯番号を知っている人なんて限られている。
その人達の誰かが、病院から私に電話をかけてきた……何の為に?
決まってる、誰かが病院に運ばれたか何かで、それを知らせようとしてくれたんだ。
そこまで考えて、ふと嫌な予感が頭を過ぎる。
信じたくない。信じたくないけど……、
「トシぃ!!」
また稽古場に戻って、そう叫んだ。
目を丸くして私を見る彼に、息を整えるよりも先に言う。
「大江戸病院まで、私を連れてって」
☆☆☆☆☆
「大丈夫か?」
「大丈夫、ありがと。帰ってて良いから」
心配そうに訊いてくるトシに早口でそう言って、パトカーから降りて病院へと駆け込む。
どこに行けば良いんだろう、と迷っていたら、「Aさん!!」なんて聞き覚えのある声で呼ばれた。
「……新八」
「来てくれて良かったです、取り敢えずこっちに!」
説明も無しに、新八はそう言って駆け出す。
余程焦っているみたいで、さっき感じた嫌な予感が徐々に確信に変わっていく。
「ここです」
「走らないで下さい!」なんて看護師からの注意を振り切りながら走って辿り着いたのは、ある一室だった。
その部屋の前には憔悴した様子の銀ちゃんや神楽も居て、それだけでもう、部屋のベッドに横たわっているのが誰だか分かってしまった。
「…………お姉ちゃん」
今は治療をしているらしく、部屋には入れない。
だから私は、ガラスの窓越しに彼女を見つめた。
嫌でも脳裏に蘇るのは、ミツバ姉があのベッドの上で息絶える様子。
そういえば、もう冬も終わりだ。
もうじき桜が咲く季節。
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ゆず(プロフ) - りさん» ありがとうございます! バラガキ篇大好きなので、ドンドン更新していけたらと思います。全力で頑張ります! (2020年4月23日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
り - 続編おめでとうございます!!これからも頑張ってください全力で応援してます!! (2020年4月23日 19時) (レス) id: e466fb159c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年4月23日 12時