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バラガキ篇/真っ白な ページ28

「はああ!? 死人に手紙!?」




散々文句を言いながら鉄之助をバイクで武州の墓地へと連れてきた銀時は、その目的を彼から聞いて、マジか、と驚きの声を上げた。
 



「ふざけんな、んな事して一体何の意味があるんだ!!」


「お願いです、自分副長に恩を返したいんです!! だから兄上殿に、副長は立派にやっていると伝えてあげたいんです」



その声に渋々墓地を歩きながら、文句をタラタラと零す。




「冗談じゃねーぞ。ったく、茶番中の茶番じゃねーか」


「えーと、副長の兄上殿のお墓は……アレ」




キョロキョロと視線を巡らせていた鉄之助が、目当ての墓を見つけた途端、戸惑ったような声を上げた。


土方為五郎と書かれた墓の前に、1人の初老の女の人が居たから。


彼女も2人に気付いたようで、「アラ」と呟く。




「これはこれは、珍しい。あの人のお墓にあの子以外にお参りなんて」


「……え? も、もしかして、兄上殿の……いや、あの、自分は……」




自分をどう説明しようか、と鉄之助が迷っていると、為五郎の妻は鉄之助が手に持つ手紙に目を留めた。




「ああ、その手紙は。そうかい、そうかい。あの子の手紙を届けにきてくれたんだね」




いつも挨拶もナシに手紙だけおいていっちゃうもんだから、あの子。そんな仕方なさそうに言われた言葉に、鉄之助は「え、」と目を瞠る。




「えっ!? もしかして、副長が!?」


「ええ。毎月このお墓まで……。生前はあの人も楽しみにしていたからねェ、トシからの手紙」


「そ、それじゃあ、副長と兄上殿は交流が!!」


「手紙だけだけどね。最後に会ったのは、もう何年も前。近藤さん達と江戸へ旅立つ前日だったかしら」




何年も帰ってきていなかった土方が、ひょっこり帰ってきたらしい。


そのクセ為五郎とは口をきかずに、黙って一緒にご飯を食べ、黙って一緒に酒を飲み。




『……トシ。手紙……よこせよ』





黙って、出て行った。




「それからよ、毎月かかさずあの子から手紙が来るようになったのは。嬉しそうだったよ、あの人」




目はもう見えないのに、いつも笑って読んでいた。


トシの手紙はまだか、トシの手紙はまだかって。


だから今も、彼女が毎日読み聞かせているらしい。




その、真っ白な手紙を。




「手紙でも相も変わらず、無口で頑固な兄弟だけれどね」

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ゆず(プロフ) - りさん» ありがとうございます! バラガキ篇大好きなので、ドンドン更新していけたらと思います。全力で頑張ります! (2020年4月23日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編おめでとうございます!!これからも頑張ってください全力で応援してます!! (2020年4月23日 19時) (レス) id: e466fb159c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2020年4月23日 12時

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