バラガキ篇/きっと届く ページ26
慌てる銀ちゃんに構わず、鉄は言葉を続ける。
「今回の件は全て自分の責任っス」
「いやちょっと待って、そーいう流れにしたいんじゃないんだけど!!」
「自分……みんなに……副長に元攘夷浪士である事がしれるのが恐くて……そのせいで……みんなに、こんなに迷惑かけて」
鉄は俯いて言うもんだから、その目から涙が落ちる。
心の底から後悔している様子で、以前の面影が無い。
「何もしらないくせに、エラそうな口叩いて」
『自分は副長が羨ましいです。だからどうか、兄上から逃げないであげてください』
「折角預かった手紙さえも、届ける事ができなかった。副長の兄上にも、自分の兄貴にさえも」
「届かなかったんなら、もう1度出せばいいさ。今度は自分自身の手で」
ずっと黙っていたトシが、鉄にそう言った。
もう1度なんて、なんて諦めの悪い言葉なんだろう。
エリート様じゃ言えない言葉。
「約束しただろう、俺より強くなるって。今度はてめーの番だろーが。確かにてめーのアニキには届かねェかもしれねェ」
トシは少し笑って、後ろを見た。
いつも通りの笑顔の、真選組の隊士達。
「だがな、少なくとも、お前と同じこのロクでもねェアニキどもやアネキには、きっと届くさ」
「トシがちゃんと区別してくれた。感動」
「字が読めるかどうかは保証しねーが」
私や近藤さんの言葉に、皆ガハハと笑う。
エリート様はこんな笑い方しないだろう。
「……鉄」
私達を見て涙を浮かべる鉄を、トシが優しく呼ぶ。
「てめーの手紙……俺達はいつでも待ってる事を…………忘れん……な……」
「うわトシ大丈夫!?」
言いながら前にグラリと倒れたトシを、慌てて受け止めた。
考えてみればそうだ、こんな重傷で今まで立ってた事の方が凄いんだ。
「副長!!」
「トシ、大丈夫か!!」
「言ってねーで私を助けろ! 重い!」
「あ、ああ、すまん!」
近藤さんが私からトシを受け取ってくれたお陰で、私は解放された。
力無いんだって、私。
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ゆず(プロフ) - りさん» ありがとうございます! バラガキ篇大好きなので、ドンドン更新していけたらと思います。全力で頑張ります! (2020年4月23日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
り - 続編おめでとうございます!!これからも頑張ってください全力で応援してます!! (2020年4月23日 19時) (レス) id: e466fb159c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年4月23日 12時