わたの原

巻き込まれ ページ46

４日目。




「「もうガキの面倒はみねェ……！」」




総悟と２人声を合わせて、その場に座り込んだ。


隊士達の物珍しそうな視線や話し声が聞こえてくるけれど、それに反応する気力は皆無だ。




「疲れんの早っ！ もう１回！」


「「ふざけんな」」




昨日はあんなに大人しく絵を描いたりテレビを観たりしてたのに。


その反動か？




私も総悟も粛清の時や稽古の時は結構暴れる方だけど、全力を出す事ってあんまり無いのだ。


だからだろうか、２時間にも及ぶ子供の遊びに付き合うだけでこの疲労。


もう動きたくない。




「奏多、誰か別の人に遊んでもらってよ。ほら、あそこでだべってる奴ら居るでしょ」




私と総悟がヘトヘトになっている様子を明らかに楽しみながら見ていた連中を指差して言えば、途端に解散しやがった。


ふざけんな。




もう誰かを脅して世話させるか？ なんて考えていたら、「おぉ」と笑い混じりの驚いたような声が降ってきた。




「何、トシ」


「いや、どんなもんかと思ってな。意外とちゃんとしてんじゃねーか」


「お前が副長だから俺まで巻き込まれたんでィ、死ね土方」


「ヘトヘトになりながら言われてもなぁ」




キッと睨めば、ニヤニヤしながら頭をポンポン撫でられる。


私らが疲れてんのがそんなに面白いか。




「ねーちゃん、この人偉い人？」


「まーね。一応ここじゃ２番目に偉い人」


「一応ってなんだ」




私が興味津々な奏多にそう答えると、すかさず不満そうな声がとんできた。




「偉いって事は、強いよね？」


「そうだね」


「強いって事は、体力あるよね」


「……そうだね」




何となくこの先の展開が読めて、笑いを堪えながら答える。


まあ、私や総悟よりはトシの方が体力あるだろう。




急に何かを察したように踵を返したトシの隊服のズボンをガシッと掴んで、奏多が言った。




「おっさん、俺と遊んでよ」




おっさん……！

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