わたの原

理由 ３ ページ3

「つー事なんです。その辺の非合法遊 里にでも売り飛ばしといてもらえますか、この娘」




見事なたんこぶだなぁと、縛られたその少女、六角霧江をしげしげと眺める私を他所に、総悟は対面のソファに座る銀ちゃんに言った。




「まだガキだがマニアには高く売れますぜ」


「人を奴 隷商人みたいに言うな」


「アレ、奴 隷商人じゃありませんでしたっけ。不法入国した小娘無銭でコキ使ってるじゃないですか」


「誰が奴 隷アルか！！ ブチ殺したろかクソガキ！！」




因みに神楽の方が総悟よりも４つ歳下である。




「厄介なモン持ち込んでくんじゃねーよ。こんな小娘真選組(てめーら)で処理すりゃいいだろメンド臭ェ」


「そうなんだけどね……今丁度たてこんでて」


「その上こんな雑魚にイチイチ構ってたらキリがねーや。真選組(ウチ)は万事屋(オタク)と違って暇じゃねーんです」


「総一郎君はAみたいに申し訳なさそうな顔できないの？ ねェ」




フン、と、霧江が鼻で笑った。




「ただの殺人集団が何を偉そうに。テロリストだけじゃ飽き足らず罪もない人間まで斬り殺してりゃ、そりゃ暇なんてないでしょうよ」




憎々しげなその言葉に、私は眉根を寄せる。


真選組(ウチ)の人間、しかも総悟が、一般人を間違えて斬ったなんて話聞いた事が無い。




「霧江さん……っていいましたっけ。あなたのその……亡くなったお父上って、攘夷浪士かなんかじゃないんですか」




気遣わしげな新八の問いに、霧江は俯く。




「私が逆恨みしてこんな事をしたとでも？ 父は何の罪もない一般市民です」


「真選組(このひとたち)はテロから一般市民を護るのが仕事ですよ。……そんな事、」
「巻き込まれたんです」




新八の頭にはてなマークが浮かんだ。


私はますます、あり得なくて眉根を寄せる。




「攘夷浪士と真選組、入り乱れての乱戦の中。父は巻き込まれ、この男に斬られたんです」

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