1番知っているのは、 ページ11
何年前だったか。
あまりよく覚えていないけれど、今日みたいに蝉がうるさく鳴いていた、武州での事だった気がする。
「総悟ってさ」
確か、そうAが切り出したんだ。
ぼーっと雲を眺めていた目を彼女に向けると、顎に手をやりながら1人何かに納得したようにうんうん頷いていて。
「優しいのに、素直じゃないよね」
と、そんな事をのたまいやがった。
はぁ? と俺は思わず眉根を寄せる。
「何言ってやがんだ。俺ァ優しくなんてねェよ」
素直じゃないってのは、そうかもしれないが。
「自分の事なら、自分が1番よく知ってんだ。俺は優しくなんてねェよ」
俺が青空に目線を戻しながらもう1度そう言えば、隣からはプッと吹き出す声が聞こえた。
アハハハと、腹を抱えながら目尻に涙まで浮かべて盛大に笑ってやがる。
「何笑ってんだ」
軽くイラッとしながら語気を強めて問えば、Aはゴメンゴメンと謝りながら未だに笑っている。
暫くして収まったのか、ふぅと息をついて目尻をぬぐいながら、俺を見てニッコリ笑う。
「総悟の事なら、多分私が1番知ってると思うなぁ」
そんなワケねェだろ、と。
俺がそう言うと、そう? と首を傾げられた。
「だって、」
ガチャン
記憶をなぞるのを遮るかのように聞こえたその物騒な音と頭への感触に、俺はふと我に返る。
ようやくおでましか、と思った。
「てめーか、あのガキけしかけたのは」
後ろを振り返らないまま口を開く。
「ったく。どいつもこいつも、そんなに俺が憎いかね」
俺が目を伏せてそう言うと、
「ああ憎いネ!! よくもタバスコなんてしこみやがったな、クソガキャ!!」
「オメーかよォォォォ!! 何をしてんだテメーは!!」
82人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - リヒトさん» すごく嬉しいです、ありがとうございます! 折角春休みなので、更新ドンドンしていこうと思います! (2020年3月16日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
リヒト(プロフ) - もう好きすぎて1日で全部読んで何回も繰り返して読んでます!!笑これからも更新頑張ってください!!めっちゃ応援してます!! (2020年3月16日 15時) (レス) id: c6295103af (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» またコメントくださってありがとうございます! 受験なんかに負けず頑張ります! (2020年2月26日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
% - 続編おめでとうございます!ゆずさんの紡ぐ物語は読んでいて心地良いです!カッコいいと可愛いを兼ね備える美女は正義ですね(謎理論) 更新頑張ってください!応援してます! (2020年2月26日 8時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - somariさん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2020年2月25日 16時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2020年2月21日 17時