隠し通したかった真実 ページ14
血に染まった部屋、倒れる男達。
その真ん中で、自分の腕を抱いて震える男が居た。
「……お前は、六角屋の店の者か」
そんな声が、彼にかけられる。
その声の主は、彼の肩に優しく手を置いた。
「しっかりするっス。……怪我はないっスか。もう大丈夫っス。浪人どもは片づけたっス。立てるっスか?」
けれど。
バッと振り返った、男の手には。
「うわァァァァァ!!」
短剣が、握られていて。
「神山ァァっ!! 無事かァァ!!」
彼が駆けつけた時にはもう、
「……気がついたら、血に染まった六角屋が床に倒れていたっス」
神山はパトカーを運転しながら、銀時と新八にそう打ち明けた。
「あの娘の父親を殺したのは沖田隊長じゃない。自分なんス」
新八が目を瞠る。
けれど銀時は無表情のままだった。
「宗春は、創界党の一員だったんです。隊長からその後ききました。六角屋は女房子供を人質にとられ、強制的に創界党に協力を強いられていたと。宿を隠れ家として提供するだけではない、蔵の金も連中の資金として使われていたようっス」
妻も子供も、その事は知らなかったという。
六角宗春は、家族の安寧を護るために、誰にも苦しみを告げず、1人戦っていたのだ。
あの時も、家族を、娘を、護るために。
『こんなに血で汚れちまったんだ。これ以上汚れる必要はねェよ』
沖田は彼の亡骸を見て、そう言ったらしい。
『父親のまま、いかせてやれ』
「隊長は何も悪くないんスよ。悪いのは全部、自分なんスよ」
神山は眼鏡の上から顔を手で覆う。
堪えきれない嗚咽がもれた。
「なのに、自分に罪を着せられても、命を狙われても、あの人まだ護ろうとしてるんス。人殺し呼ばわりされても、父が娘のために手を汚したことは、命を落としたことは、隠し通そうと。六角屋が護ったモンを、護り通そうとしてるんでス」
あのバカ、と、銀時が呟いた。
そんな様子、微塵も見せなかったクセに。
Aはこの事を知ってるんだろうか、と思った。
知らないんだろうな、とも思った。
知っていたら、最後にあんな台詞は吐かなかっただろうから。
82人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - リヒトさん» すごく嬉しいです、ありがとうございます! 折角春休みなので、更新ドンドンしていこうと思います! (2020年3月16日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
リヒト(プロフ) - もう好きすぎて1日で全部読んで何回も繰り返して読んでます!!笑これからも更新頑張ってください!!めっちゃ応援してます!! (2020年3月16日 15時) (レス) id: c6295103af (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» またコメントくださってありがとうございます! 受験なんかに負けず頑張ります! (2020年2月26日 15時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
% - 続編おめでとうございます!ゆずさんの紡ぐ物語は読んでいて心地良いです!カッコいいと可愛いを兼ね備える美女は正義ですね(謎理論) 更新頑張ってください!応援してます! (2020年2月26日 8時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - somariさん» ありがとうございます! 更新頑張ります! (2020年2月25日 16時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2020年2月21日 17時