吉原炎上篇／おじいちゃん ページ39
どんな
ただただ黒だけが続くその世界で、鳳仙は一歩足を踏み出した。
死んでもなお、夜を往くのが夜王の運命だと。
____その時だった。背中に暖かさを感じたのは。
思わず振り返れば、一面の
「日輪」
そっと目を開けた鳳仙が見たのは、太陽を背にして少し微笑む日輪の顔だった。
「やっと、見せてあげられた。ずっと、見せてあげたかった」
彼女はそう言って空を仰ぐ。
「この空を、あなたに」
常夜の国の鉛色とは全く違う、抜けるような青空。
暖かい空。
「言ったでしょ。きっとお日様と仲直りをさせてあげるって」
目を見開いた。
それでまた強く、空の青が目に焼きつく。
「私……知ってたのよ、ずっと。どんなにエバりくさったって、どんなにヒドい事したって、あなたは夜王なんて大層なものじゃないってこと位」
「あなたはただ、こうしたかったのよね」と。
青空から目線を外して、日輪は鳳仙を見る。
「こうして日向で居眠りしたかっただけの、普通のおじいちゃんなのよね」
微笑んだ日輪は、言葉を継ぐ。
「ただ……それだけなのに。なのに……こんなバカげた街まで創って。みんなを敵に回して」
最後の方の言葉は、震えていた。
鳳仙の顔に、一滴、二滴と、雫が落ちる。
「バカな人」
彼女の泣き顔を最後に、鳳仙はまた
「本当に、」
一歩を踏み出す前に、彼は１度だけ振り返った。
「バカな
その顔はやっぱり、普通のおじいちゃんだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 97人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - ％さん» ありがとうございます！ カッコいい女の子を目指しているので、そう言っていただけて嬉しいです！ (2019年12月20日 0時) (
レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
％ - 続編おめでとうございます！夢主ちゃんが男前な感じがして凄くドキドキさせられてます！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年12月19日 21時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆず x他1人 | 作成日時：2019年12月16日 0時
