吉原炎上篇／行ってくれ ページ30
「晴太ァ！！」
それまで黙っていたAさんが突然大声を上げた。
オイラは驚いて、銀さんの元へ向かっていた足を止めた。
「何してんの、さっさと行きな。お母さん連れて、
「い……いやだ！！ 銀さんとAさん置いて、オイラ達だけ逃げ出せっていうのかよ」
鳳仙の目から、カランと音を立てて煙管が落ちる。
「そんなマネ……こんな事に巻き込んで、そんなマネ絶対できるかよ」
銀さんが今いっぱい血を流しているのも、Aさんが時々辛そうに左腕を押さえるのも、全部オイラが巻き込んだからだ。
せめて、最後まで一緒に居たかった。
言葉に詰まったAさんに代わる様に、壁に背を預けて座り込む銀さんが口を開いた。
「巻き込んだ？ 勝手に顔ツッコんだの間違いだろ。行けよ。てめーら
「いやだ！！ そんなの絶対いやだ！！ 役には立たないけど、オイラが銀さんを助ける！！ ずっと……最後まで一緒にいる！！」
「てめーは、」
「銀さん、言ったじゃないか」
何か言おうとした銀さんの言葉に被せる様に言った。
「血はつながってなくとも家族より強い絆があるって。そうさ……血なんか関係あるかよ」
オイラを泥棒から足洗わせてくれた。
まともな生活を送れるようにしてくれた。
１人ぼっちのオイラと、一緒にいてくれた。
「短い間だったけど楽しかった。じーちゃんが死んでから初めてだった、あんなに楽しかったのは」
血は繋がっていない。だけど、
「母ちゃんと何も変わらない。みんなは、オイラにとっちゃ大切な家族なんだよ！！ 大切なことをいっぱい教えてくれた、かけがえのない人達なんだよ」
涙が溢れて止まらない。
視界の端に、心配そうなAさんの顔がボヤけて見える。
「それを、こんな所に捨てていけっていうのかよ！！ こんな所に見殺しにしていけっていうのかよ！！」
少し目を見開いた銀さんが、口を開いた。
「そいつが聞けただけで、俺ァもう充分だよ」
少し微笑んだ。
「行ってくれ。俺をまた、
「……！！ ぎ、銀さ……」
ドゴォ
鳳仙の蹴りによって、壁に埋もれた彼の顔が見えなくなる。
血がポタポタ流れているのが見えた。
「銀さんんんん！！」
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ゆず(プロフ) - ％さん» ありがとうございます！ カッコいい女の子を目指しているので、そう言っていただけて嬉しいです！ (2019年12月20日 0時) (
レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
％ - 続編おめでとうございます！夢主ちゃんが男前な感じがして凄くドキドキさせられてます！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年12月19日 21時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず x他1人 | 作成日時：2019年12月16日 0時
