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吉原炎上篇/酒の肴 2 ページ26

抱き合う晴太と日輪を見て息をついた銀時に、神威が目をとめた。




「……アレは、あの時いた」




Aだけだと思っていたけれど、まだ居たのか。


そう、彼に笑顔を向ける。




「へぇー。生きてたんだ」




少しだけ嬉しそうに呟いたその声が聞こえたのか、目線を寄越したAと目が合った。


ひらひらと手を振れば、嫌そうな顔をして逸らされる。


それから彼女は、鋭い目で見てくる夜王に目を向けた。




「……そうか。貴様らが童の雇った浪人。わしの吉原(まち)を好き勝手やってくれたのはぬしらか。やってくれたではないか」


「好き勝手? 冗談よせよ。俺達ァ女の1人も買っちゃいねーよ」


「それならばわしが買うか? そこの女、いくらだ」




銀時からAへ、鳳仙の視線が移る。




「あ?」


「女、なめんな」




一気に鋭くなった2人の視線に、鳳仙が面白そうな冷たい笑みをこぼした。




「冗談だ。顔に傷の付いた女など買わん……代わりにこれから酒宴を用意してやる。血の宴をな」


「過分な心遣いありがたいが、そいつは遠慮するぜ。ジジイのV字の生え際見ながら酒飲んでも何にも旨かねェ。こんな所で酒飲んだって、何にも旨かねェ」




酒好きの銀時が真っ直ぐな目でそう言った。


絶対に自分の武士道(ルール)を曲げない時の目だった。




「男の極楽、吉原桃源郷。たしかに大したもんだ。よくまァこれだけあちこちから別嬪さん集めてきたもんだよ。だがどんだけ美女を集めようが、どんだけ美酒を用意しようが、俺達ァてめーの吉原(くに)で酒なんざ一滴足りとも飲まねェ」




未だにナイフの様な鋭い目線を鳳仙に向けているAの頭を撫でながら、そう言い切った。




「鎖で繋がれた女から酒なんて注がれても、何にも旨かねーんだよ。泣きながら酒なんて注がれても、何にも旨かねーんだよ」




ババアだらけの薄汚いスナックでも、悪辣なキャバ嬢がはびこるぼったくりバーでも、笑って酌をしてくれるなら、みんなが笑って酒を飲めるなら、それがいい。


美女も美酒も屋根さえない野原でも、月見て安い酒飲めるなら、それがいい。




「女の涙は、酒の肴にゃ辛過ぎらァ」

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ゆず(プロフ) - %さん» ありがとうございます! カッコいい女の子を目指しているので、そう言っていただけて嬉しいです! (2019年12月20日 0時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編おめでとうございます!夢主ちゃんが男前な感じがして凄くドキドキさせられてます!更新頑張ってください!応援してます! (2019年12月19日 21時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年12月16日 0時

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