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吉原炎上篇/たいようが番人 ページ17

胸でも爆弾でもなく、煙玉だったらしい。


それで百華の足を止めて先に進むけれど、すぐにまた大勢現れる。




「ダメだー!! 埒があかない!! 幾らでもでてきます」


「口より足と手ェ動かす!! すぐ死ぬよ!」


「Aさんに言われると怖いんですけど!!」




襲いかかってくる女の攻撃を躱して、回し蹴りを入れる。


屈んでクナイを避けて、足を払って転ばせた。




「くそっ!! こんな事してる間に晴太が……!!」




苛立った様に銀ちゃんが零した途端、月詠が忙しく動かしていた足を止めた。




「どうしたの?」


「ここでしばらく食い止める。先にいきなんし」




振り返らずにそう言った彼女に、私は目を見開く。


神楽が口を開いた。




「お前、死ぬ気アルか」


「部下の躾は頭がするさ」




何でもない様に返した月詠に、銀ちゃんが死んだ魚みたいな目で言った。




「……火種をよこせ」




脈絡の無い言葉に、やっと紫色の瞳がこちらを向く。




「オメーと一緒になくなられちゃ困るんだよ。煙玉(コイツ)が使えなくなるだろ」


「……最後になるやもしれん。一服、」
「ダメだ。さっさとよこせ」




急かす様な銀ちゃんの声に、月詠が諦めた様に煙管と巾着を彼に投げ渡した。


パシッとキャッチする。




「銀さん、ホントに置いてくつもりですか」


「……そんなに吸いたきゃ、」




新八の言葉には答えずに、銀ちゃんは歩き出した。




「戻ってこい。必ず戻って、吸いにこい」




巾着を懐に入れて、いつも通りの声音で言う。




「さっさと戻ってこねーと、しゃぶり倒すからな」




煙管を弄びながらの銀ちゃんの言葉に、小さく瞠られていた瞳がふっと和んだ。




「ぬしらも早くゆけ」




去っていく白い背中から目を離して、芯の通った優しい声。




「何度もいわせるな。わっちが身命を賭して護るは日輪のみ。ぬしら如きを護るために捨てる命などもちあわせておらんわ」




優しい紫色の瞳が私達に向けられる。




「早くいけ」




私達は少し顔を見合わせて、頷き合う。




「早く戻ってきてね」




私はそう言い残して、銀ちゃんの後を追った。








3人の背中から目を外した月詠は、目前の女達を見据えた。




「死ぬる覚悟はできた。どこからなりともくるがいい。何人たりとこれより先には通さぬぞ」




クナイを構える。




日輪(たいよう)が番人、月詠。参る」

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ゆず(プロフ) - %さん» ありがとうございます! カッコいい女の子を目指しているので、そう言っていただけて嬉しいです! (2019年12月20日 0時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編おめでとうございます!夢主ちゃんが男前な感じがして凄くドキドキさせられてます!更新頑張ってください!応援してます! (2019年12月19日 21時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年12月16日 0時

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