真選組動乱篇/御旗 ページ12
「久し振りだな、武州に帰るのは。あそこは俺やトシや総悟やAの育った地でね」
近藤が流れ行く景色を眺めながらそう言った。
段々と高い建物が無くなっていって、緑が増えてくる。
何年か前は段々と増えていく灰色のビル群に胸を躍らせた様な記憶もあるが、今となっては見慣れた風景だ。
「どいつもこいつも喧嘩ばかりしている荒れた所だった。考えてみたら、やってる事は今と変わらんな」
違いといえば、誰かの為にそれをしているのかそうでないのかだけかもしれない。
「たまに不安になる。俺ァあの頃から、ちったァマシな奴になれたのかって。少しは前に進めているのかって」
「君は、立派な侍だ」
近藤の向かいに座る伊東が口を開いた。
「僕は君程清廉な人物に会ったことがない。無垢ともいうのかな、君は白い布のようなものだな。何ものも受け入れ、何色にも染まる。真選組とはきっと、その白い布に皆がそれぞれの色で思いを描いた御旗なのだろう」
浮かべていた笑みを消し、伏せていた目線を上げる。
「比べて僕の色は黒だ。何ものにも染まらないし、全てを黒くぬりつぶしてしまう。どこへいっても黒しか残らない。私の通った後は、全て私の色になってしまう」
立ち上がった隊士達が、それぞれの刀を近藤へと向けた。
「近藤さん、すまないね。君達の御旗は、もう真っ黒になってしまったんだよ」
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哀(プロフ) - なるほどです!ありがとうございます! (2019年12月17日 18時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 哀さん» すみません! 次巻は用意をしただけで、まだ1ページも書けていないんです。でき次第すぐに公開します (2019年12月17日 16時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
アスミ - パスワード教えて欲しいです! (2019年12月17日 15時) (レス) id: 41e9138099 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - はじめまして!とても面白かったです!次の作品も読んで見たいのでパスワードを教えて頂けると嬉しいです! (2019年12月16日 16時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» 結構長いのに、2日で読んで下さるなんて…! とても嬉しいです。頑張ります! (2019年12月15日 22時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年11月29日 17時