真選組動乱篇/電車の中で ページ11
『僕につけば兄に会える。……どうする?』
4年振りの武州へと向かう電車の中、私は先程伊東に言われた言葉を思い出してはぁと溜息をついた。
さっきは思わず動揺して何も返せなかった。
もしかして、アイツの頭の中では私も伊東派という事になっているんだろうか。
そんなの考えるだけで吐き気がしてくるけれど、むしろ好都合かもしれない。
近付けば近付く程情報が入ってくるから、伊東を真選組から追放してトシを戻す事も出来るかもしれないし。
私は窓の外の風景から目線を外して、正面の席に座る総悟に目をやる。
後部車両の見張りを任されていた筈のコイツは全くやる気がないけれど、この車両に乗っているのは私と彼2人だけだから、咎める者は誰も居ない。
「総悟」
名前を呼べば、つまらなそうに窓の外を眺めていた蘇芳色の目が私に向けられる。
「これから何するのか聞いてる?」
「隊士募集の遠征だろィ」
「……本気でそう思ってないよね?」
真顔で言ってくるから思わず聞き返してしまった。
いや、そこまでアホじゃない筈。
「……聞いてねェ」
「近藤さん、危ないかもよ」
「あ? どういう事でィ」
だって、と思う。
この列車に乗っているのは、
何をするにも自由じゃないか。
例えば、近藤さんを暗殺して真選組を乗っ取る、とか。
それを言えば、総悟の瞳がみるみる険しくなった。
「有り得ない話じゃない」
「……ちょっと行ってくらァ」
総悟がそう言って席を立つ。
方向は前方車両、近藤さん達が居る所。
「私も行く」
グイッと伸びをしてから立ち上がれば、総悟が少し振り返って言ってきた。
「邪魔すんなよ」
「当たり前」
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哀(プロフ) - なるほどです!ありがとうございます! (2019年12月17日 18時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 哀さん» すみません! 次巻は用意をしただけで、まだ1ページも書けていないんです。でき次第すぐに公開します (2019年12月17日 16時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
アスミ - パスワード教えて欲しいです! (2019年12月17日 15時) (レス) id: 41e9138099 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - はじめまして!とても面白かったです!次の作品も読んで見たいのでパスワードを教えて頂けると嬉しいです! (2019年12月16日 16時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» 結構長いのに、2日で読んで下さるなんて…! とても嬉しいです。頑張ります! (2019年12月15日 22時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年11月29日 17時