真選組動乱篇/そんなアンタだからこそ ページ17
伊東達が爆発に気を取られている間に、3人は1つ前の車両へと移動していた。
そこはこの電車でも1番前にあたる車両で、自動で運転をしている場所だ。
安全な中へと入った近藤が、「すまねェ」と口を開いた。
その背中を、未だに不安定な連結部分に居るAと沖田が静かに見つめる。
「こんな事になったのは、全て俺1人のせいだ。なんてわびればいい。俺ァ、お前らに、トシに……なんてわびればいいんだ」
どこまでも暖かくて優しい背中。
Aと沖田は少し目を合わせた後、その重い鉄の扉を閉めた。
「総悟、A!? 何をやっている、開けろ!!」
その声に構わず外から鍵もかける。
今度は自分が近藤に背を向けて、沖田が言った。
「近藤さん、大将の首とられたら戦は負けだ。ここは引き下がっておくんなせェ」
「ふざけるな。開けろ!!」
Aがしゃがんで、レバーを引く。
ゴゴゴゴと音がして、連結部分が離れていく。
「近藤さん、だから何度も言ったでしょ。アンタの悪い所は、人が良すぎるとこだって」
沖田が静かに言う。
Aは瞳を閉じて、近藤の乗る車両に背中を預けた。
穏やかな声に耳をすます。
「誰でも信じて、疑おうとしてねェ。挙句、あの
そこで区切れた言葉に、Aが黄色の左目を開けた。
「だが、そんなアンタだからこそ、俺達ゃ集まったんだ」
亜麻色の髪をふわりとさせて、沖田がどんどん離れていく車両に飛び移った。
「そんなアンタだからこそ、一緒に戦ってきたんだ」
着地と同時に、隊服が柔らかく揺れる。
「そんなアンタだからこそ、命張って護る甲斐があるのさァ」
彼が浮かべているのは、彼にしては珍しい、年相応の柔らかな表情。
待てという近藤の声も虚しく、沖田だけが残った車両はドンドンと離れていった。
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哀(プロフ) - なるほどです!ありがとうございます! (2019年12月17日 18時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 哀さん» すみません! 次巻は用意をしただけで、まだ1ページも書けていないんです。でき次第すぐに公開します (2019年12月17日 16時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
アスミ - パスワード教えて欲しいです! (2019年12月17日 15時) (レス) id: 41e9138099 (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - はじめまして!とても面白かったです!次の作品も読んで見たいのでパスワードを教えて頂けると嬉しいです! (2019年12月16日 16時) (レス) id: d4e761c72f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - %さん» 結構長いのに、2日で読んで下さるなんて…! とても嬉しいです。頑張ります! (2019年12月15日 22時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年11月29日 17時