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褒め言葉 ページ39

「……お前、その格好どうした」




近藤さんを何とか運んで助手席に乗り込めば、運転席に座った総悟が信じられないものを見たかの様な口調で訊いてきた。




「着させられた」




動きにくいし鬱陶しいし、と頰を膨らませながら言って、せめて簪だけでもと外す。


隣からの視線が突き刺さる。




「そこまで驚く?」


「……化けたな」




総悟は一言そう言うと、前を向いてアクセルを踏んだ。




「総悟に褒められたの初めてかも」


「褒めたのか? アレ」


「そうでしょ、普通の人だったらともかく総悟が言うんだよ!?」


「うるせェ」




苦笑いのトシに後部席へ身を乗り出して言えば、隣の総悟が結構強めに頭を叩いてきた。


痛い。




「なにさ、さっき私に見惚れてたクセに」


「見惚れてねェ。自意識過剰め」


「ひっど!」




やっぱりこうなると思った。


良いもん良いもん、明日これ着て銀ちゃんのとこ行ってやる。そんで絶対可愛いって言葉をゲットしてやる。そうでもなきゃこの格好割に合わない。




私がそう窓の外を眺めながら言えば、隣からあからさまな溜息が聞こえてきた。


後ろからは「おい何言ってんだ明日はお前仕事だかんな!?」とトシの声。




そこで屯所に着いて、私がさっさと自分の部屋に向かおうとすると、後ろから手首を掴まれた。


そのまま後ろへ引き寄せられて、耳元で総悟の声がする。




「……似合ってらァ」




クシャクシャ、と頭を撫でた後、ポケットに手を突っ込んで部屋へと戻って行く。


その耳が遊園地に行った時みたいに赤くなっていて、私は少し笑った。

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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年11月11日 17時

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