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ありふれた ページ11

えいりあん騒ぎの翌日。


見廻りとは名ばかりの散歩をしていると、目の前を見覚えのある眼鏡男子が結構な勢いで横切って行って。


何となく、本当に何となく、私は咄嗟に彼の襟を掴んで引き止めていた。




「ぐっ」


「ああ、ゴメンゴメン」




潰れた蛙の様な声に、形だけ謝りつつ手を離す。


バッと睨むようにこっちを見てきたその目は、相手が誰だか認識すると急に柔らかくなった。




「どうしたの? 新八。そんなに急いで」


「いや、あの、実はですね……」




そう彼が話し出したのは、なんと銀ちゃんが神楽を解雇したというものだった。


なんでも彼女のお父さん、つまりは星海坊主が、娘を連れて帰ろうとしたらしい。


自分も銀さんが直接神楽ちゃんに解雇を言い渡したところは見ていないから詳しい事は知らないが、と新八は言った。




「それで君は今、神楽を連れ戻そうとしてる、で当ってる?」


「はい」


「……君今、どんぐらい時間ある?」


「……なるべく早く行きはしたいですけど」


「そう。じゃ、ちょっと時間くれる? 大丈夫、そんなかからないから」




私はニッコリ微笑むと、近くの公園へ足を向けた。


新八も付いて来て、2人並んでベンチに座る。




「新八はさぁ、今銀ちゃんに怒ってるんだよね? あんなに万事屋に居たがってた神楽を突き放すようなマネするなんて、って」


「……はい」


「……こっからは、私の意見なんだけどさ」




私はそう前置きすると、新八から視線を外して前を向いた。


砂場や滑り台、ブランコ。目の前に広がるのは、そんなありふれた遊具で遊ぶ子供達を、母親が、あるいは父親が、優しい眼差しで見守っている、そんな光景だった。

本当に大事なもの→←月の下で、アイツの分まで



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ゆず(プロフ) - fubukiさん» ありがとうございます! これからもよろしくお願いします! (2021年2月22日 22時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
fubuki(プロフ) - 題名が覚えている百人一首の句なのでとても嬉しくなりました!面白いです。 (2021年2月22日 21時) (レス) id: 8d00889b6b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - グリみいさん» ありがとうございます!そう言っていただけて凄く嬉しいです。更新頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いします! (2019年9月4日 18時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
グリみい - 感動して泣けました!!凄くこのシリーズが大好きです!!応援してます! (2019年9月3日 22時) (レス) id: 460e4835e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2019年8月18日 10時

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