カップル ページ37
「いらっしゃいませー! 実は当店では只今キャンペーンを行なっているのですが、」
やたらとテンションの高い、だが場所的に違和感の無い彼女がこう続けた。
「お2人はカップルでしょうか?」
☆☆☆☆☆
何 で こ う な っ た 。
色とりどりのピンクがふんだんに使われた店内に、やたらとハートがあしらわれたメニュー。
周りを見渡せば男女の2人組しか居らず、甘い、自分達だけかの様な空気を纏いながら食事を楽しんでいた。
もう1度言おう。
何でこうなった。
「リア充爆ぜろ」
「俺達もハタから見ればリア充でィ」
「元凶は黙っとけ」
涼しい顔でデザートのモンブランを頬張っている総悟をジロッと睨みつけ、パフェを一口掬って口に運びながら溜息をつく。
場違い感と居心地の悪さが半端ない。
そもそも、総悟があそこで頷かなければ良かったのだ。
いくら2割引になるからって、事実でないのだから頷く必要もないだろう。
「良いじゃねェか。そもそも遊園地なんてカップルの為の場所みてェなモンだろィ」
「偏見が過ぎるぞ」
くそぅ、パフェなんか頼まなければ良かった。
ショートケーキにでもしとけばすぐ様食べ終われたのに。
しかも美味いのが腹立つ。
「ていうかお前早くしてくんない!?」
こっちは1秒でも早くここから出ようと急いで食べているのに、目の前の総悟は全く急ぐ気配がない。
額に青筋立てながらキレると、何を思ったのか彼はモンブランを刺したフォークを差し出してきた。
「え?」
「食え。甘過ぎてこれ以上無理でィ」
はい、あ〜ん。なんて言ってくる総悟をガン無視してフォークを奪う。
モンブランの皿も自分に引き寄せて、残り3割となっていたそれを食べ始めた。
「お前……」
食べてやっているというのに、総悟は何故か呆れたような、それでいて少し嬉しそうな複雑な表情を浮かべる。
「何?」
「……いや、何でもねェ」
何なんだ。
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ゆず(プロフ) - fubukiさん» ありがとうございます! これからもよろしくお願いします! (2021年2月22日 22時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
fubuki(プロフ) - 題名が覚えている百人一首の句なのでとても嬉しくなりました!面白いです。 (2021年2月22日 21時) (レス) id: 8d00889b6b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - グリみいさん» ありがとうございます!そう言っていただけて凄く嬉しいです。更新頑張りますので、これからもどうぞよろしくお願いします! (2019年9月4日 18時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
グリみい - 感動して泣けました!!凄くこのシリーズが大好きです!!応援してます! (2019年9月3日 22時) (レス) id: 460e4835e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2019年8月18日 10時