言い訳 ページ12
『こた君』。
自分の事をそう呼ぶ相手を、小太郎はたった1人しか知らない。
目を見開きながらゆっくりと振り返ると、そこには、逢いたくて、でも会わなかった彼女が居た。
真選組の隊服を着ているからか、部下達は彼女を警戒している。
それを制してから、彼女に向き直った。
大きい満月のような黄色い左目に、閉じた右目に縦にはしっている傷。
三日月型の髪留めの付けられた黒髪は、昔自分達があげた紫と金の糸で1つに束ねられていた。
その肩には、見覚えのない黒猫が乗っていた。
「A……」
一体何年振りだろうか。その名を口に出すのは。
小さな声だったが、彼女の耳には届いたらしい。
瞳に涙を浮かべながら、ゆっくり歩み寄ってくる。
「久し振り、こた君」
10年前よりも身長差が縮まった。
10年前よりも大人びている。
それでも、その笑顔は10年前と何も変わっていなかった。
「お前今、真選組に居るらしいな。新聞でよく目にする」
「……何で、会いに来てくれなかったの?」
彼女の悲しそうな目に、小太郎は弱い。
目を逸らして、理由を口に出す。
「会ってはいかんと思った。俺は攘夷志士、お前は役人。立場がまるで違う。俺のせいで、Aに迷惑はかけられんしな」
……だが。
「逢えて嬉しい。……よくそこまで頑張ったな、A」
頭を撫でてやると、Aは堰を切ったように泣き出した。
彼女が今までどれだけ不安だったのかは、想像に難くない。
その不安を消し去る事が出来るならば、それが自分への言い訳になるだろうか。
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ゆず - 亜水さん» 総悟のSが初めて発揮された回。私結構お気に入りです。 (2019年7月16日 20時) (レス) id: e9f8937968 (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - 本当だぁ!更新するの早いですね!凄い!あのカエルアニメで観たときマジで苛ついた!総悟あのまま首はねちゃえばいいのにって正直思いました。でもまあ最終的には焼かれてたんで良かったです♪ (2019年7月16日 20時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
ゆず - 亜水さん» ありがとうございます!このシリーズを更新するのは私自身楽しいので、ドンドンしていけたらと思います。 (2019年7月15日 22時) (レス) id: e9f8937968 (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - 桂優しいな〜再開場面、感動しました! (2019年7月15日 11時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
亜水 - めっちゃ面白いです!読みやすかったです!更新頑張って下さいね次も観させていただきますので、よろしくお願いいたします! (2019年7月14日 17時) (レス) id: 9d2ec575ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年7月10日 22時