動揺 ページ30
江戸の屯所での生活も落ち着いて、スムーズに仕事を進められるようになってきた頃。
隊長格以上のメンバーが招集されて、会議が開かれた。
話を進めるのは近藤さんだ。
「えー、実は先程、幕府から指名手配書が届いた。凶悪な攘夷志士らしくてな、かつての戦争の際、『攘夷四天王』と呼ばれていたらしい」
そう言った近藤さんの話に合わせて、トシが手配書を皆の中心に置く。
その人相書きを見た瞬間、息が止まるかと思った。
「え……?」
思わず口から溢れた音に気付けないくらい、私は動揺していた。
目の奥が熱くなってきて、これはヤバイと悟る。
「あ、おい、A! どうした!?」
そんなトシの声にも立ち止まらず、私は一心に自室へと向かった。
☆☆☆☆☆
何で、あの2人が……。
さっきから私の頭の中には、それしか無かった。
あの手配書に描かれていたのは、私がずっとずっと逢いたかった人達。
忘れる事なんて出来る筈無くて、この7年何度も何度も思い浮かべていた人達。
私に色々なものをくれた人達。
お兄と、こた君だった。
攘夷戦争に参加していたんだから、それが終結した今でも攘夷志士をやっていて何ら不思議じゃない、そんな事は分かってる。
だけれど分からなかった。
皆……特に銀ちゃんやお兄は、国や名声なんかには興味が無かった筈だ。
先生を救う、ただその為だけになった
私と別れて参加した攘夷戦争で、何かがあったのは間違いなかった。
お兄が『国』を壊したいと思う程の何かが。
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年6月18日 22時