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良かった ページ31

「……おい、A。大丈夫か?」




10分くらい、経っただろうか。


少し私が落ち着いてきたタイミングで、襖の外からトシの声が聞こえてきた。




ノロノロと立ち上がって襖を開ける。


心配そうなトシと目が合って、申し訳なさが込み上げてきた。




「……うん、大丈夫。ごめん」


「そうか。どうする?戻れるか?」


「……うん」




トシは勿論、皆だって不審に思っている筈だ。


だって私があからさまに取り乱したのは、2人の手配書を見てからだから。


普通、何か繋がりがあるのかと疑うのが自然だろう。




それでも何も言ってこない皆の優しさが、嬉しくて苦しかった。




「……で、この2人だが」




そう近藤さんが話を再開する。




「攘夷四天王っつーのは、それぞれに異名が付いていてな。『白夜叉』『鬼兵隊総督』『狂乱の貴公子』『桂浜の龍』、この4人だ」




白夜叉……銀ちゃんかな?




「で、今手配書の来てるコイツ等は、鬼兵隊総督・高杉晋助と、狂乱の貴公子・桂小太郎。他2人は手配書が来ていないから、戦争でおっ死んだか攘夷志士をやめて身を隠しているかのどちらかだろう」




銀ちゃんが死んでいる筈無い。


どこかで絶対に生きている。


そう信じるしかなかった。




「情報は以上だ。この2人は戦争を生き残っただけあって、恐ろしく強い。用心しろ」




そう近藤さんが話を切り上げてすぐに、私はまた部屋へと戻った。


いつかの様に壁に背中を付けて座って、顔を伏せる。


さっきまでは懸命に堪えていた雫が、目から次から次へと溢れて出てきた。




「良かったぁ……」




お兄とこた君とは、今じゃまるで立場が逆だ。


もしかしたら、斬り合う事にもなるのかもしれない。




……でも、それでも。


生きていてくれた事が、ただただ嬉しかった。

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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年6月18日 22時

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