猫みてェ ページ25
「……猫みてェ」
そう言われるのは、今までも何回かあった。
頭を撫でられて気持ち良くて目を細めると、お兄が少し呆れたように、でも優しい笑顔で。
だけど今回のものは、理由も言ってきた人も違う。
浪士組の使っている屋敷の庭にある、結構な高さのある木。
3メートルくらいの所に生えた太めの枝で太陽と一緒に寝ていたら、トシが私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
それで枝から飛び降りたら、その現場を目撃した総悟に言われのだ。
「こんくらい総悟も出来るでしょ」
「そうじゃねェよ。お前今、全く音立てずに着地してただろィ」
「そうだった?」
「そうだった」
全く意識していなかったが、総悟が言うならそうなんだろう。
ふーんと頷きながら、私は思っていた。
総悟の江戸っ子口調、やっぱりまだ慣れない。
「そんな事よりさ、トシってどこ居るの?」
「土方さん? 部屋に居たと思うけどねィ」
「そ、ありがと」
この屋敷は結構広いのだけれど、トシの部屋は玄関から割と離れた所にある。
……わざわざ色んな部屋通ってあそこまで行くの面倒だし時間かかるな。屋敷内走ると怒られるし。
そんなワケで私は、屋根に登ってそこからトシの部屋を目指す事にした。
松下村塾時代から練習してきた甲斐あって、忍者並みとは言わないけれど、最近結構自在に動けるようになってきている。
そんな私を見て、総悟がまた「猫みてェ」と呟いた。
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年6月18日 22時