既視感 ページ15
ヤバイ、どうしよう。
「ミツバ姉ぇええ!!」
「あら、どうしたの?」
名前を大声で呼びながら抱きついた私の頭を優しく撫でながら、ミツバ姉は優しく微笑んだ。
が、いつもの様にその顔に見惚れる余裕は無い。
私は震える指先を玄関へ向けた。
「奴が来る……匿って!」
「奴?」
ミツバ姉が首を傾げた、その時だった。
「おい……A」
いつもの奴よりもかなり低いドスの利いた声に、思わず身体が震える。
恐る恐る顔を向けると、真っ黒い笑顔の総悟と目が合った。
どす黒いオーラが見える気がする。
「そーちゃん、どうしたの?」
「姉上、すいませんが他の部屋に行ってもらえますか? 俺はAを始末しなきゃならねェんで」
「Aちゃん……どうしたの?」
「…………」
「俺のクッキー食べやがったんですよ。しかも姉上が作ってくれたヤツ!」
ああ、あれやっぱりそうだったのか・・・。
「しょ、しょうがないじゃん! すぐに食べない総悟が悪い!」
「自分を正当化か、あぁ? どう考えても悪りぃのお前だろ!」
「じゃあほら、お詫びにコレあげるから!」
「ただの蜜柑じゃねェか、しかもウチに置いてあったヤツ!」
あれ、何か似たようなやり取り聞き覚えあるな。
ギャーギャー私達が言い合っていると、ゴツンと頭に拳が落とされた。
「「〜〜っ!」」
2人して頭を抑えて涙目で蹲っていると、「おい」という聞き慣れた低い声が。
「んなくだんねェ事で迷惑かけてんじゃねェよ」
と、トシか……。
このオチもどっかで見た事あるような気がするな、なんて思いながら、私は総悟に向き直った。
「ご、ごめん」
「もう良い。じゃあ……死ね土方ぁあ!!」
矛先が変わってホッとした私は、ミツバ姉の手を引いて甘味処へ向かった。
パフェ食べよーっと。
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年6月18日 22時