瀬をはやみ (ページ10)

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侍ページ10

「もう４年か～……」

ポツリと呟いてみる。

「何が？」

「私がここに来てから」

お兄達と、別れてから。

「４年ってのは速いもんだね。あっという間だった」

「何ババアみてェな事言ってんだ」

沖田家の縁側で、総悟と並んで夕陽を見つめる。

ミツバ姉に手当てされたばかりの傷が、ズキッと少し痛んだ。

「ねえ、総悟」

「あ？」

「総悟はさ、侍になりたい？」

「どうだろうな。お前は？」

「私はなりたいよ。ずっと昔からの、夢なんだ」

『おいおい、嫌がる女連れてこーとしてんじゃねェよ』

『己の魂を護る為に』

『弱い自分を切る為に』

あの時感じた想いは、今も変わっていない。

「へぇ」

「それにね、約束したの」

「誰と？」

「お姉ちゃんと」

「侍になるって？」

「ううん。自由に生きるって」

お姉ちゃんの分まで。

「士籍もねェ、学もねェ。しかも女だ。お前、半端な覚悟じゃ叶えてられねェぞ」

「分かってるよ、そのくらい。半端な覚悟じゃない」

士籍も学も無いのは、銀ちゃんだって同じだった。

でも私には、凄く立派な侍に見えた。

「ああなるんだ」

「……そ」

きっと今もどこかで、元気にしてるんだろうな。

３人、ギャーギャー騒ぎながら。