何も知らなかった日 ページ27
4月13日。
いよいよ、真選組としての初の大役、一橋公の護衛の日がやってきた。
私は皆とは離れて、屋根の上に居る。
屋根を伝って走りながら、怪しい人影が無いかの見張りをするのだ。
今のところそういった人物は確認出来ないけれど、油断は禁物だった。
「よォし、ここいらで休憩だ」
神社に着いた所で、近藤さんがそう号令を出した。
流石に鳥居の上に乗るのは罰当たり過ぎるので、私は大きな木で見張っている。
「近藤さん、一橋公は?」
「大事をとって、目的地までは駕籠から絶対出すなと松平のとっつぁんが」
「やれやれ、俺達にも休むなってワケか。……おいA、何かあったらすぐ言えよ」
「当たり前じゃん、どんだけ信用されてないの私」
近藤さんと話していたトシがそう言ってきて、私は唇を尖らせる。
まあ、葉っぱで隠れてトシには見えてないだろうけど。
「望む所じゃねェか。こいつは『真選組』の初任務。必ずや無事成し遂げて、俺達の力を見せてやろう」
……近藤さん、張り切ってるなぁ。
と、そこに、玉が飛んで来た。
「! なんだ?」
「ごめんごめん。おじさーん、玉こっち投げて〜!!」
「誰がおじさんだァァ!!」
「くっ、おじさんって……!」
どうやら遊んでいる最中に、子供達が玉を間違えた方向に飛ばしてしまったらしい。
近藤さんがおじさんと言われてキレているのを思わず笑ってしまった。
「あの駕籠は偉い人が乗ってるから近づいたらダメだ。もっと他で遊べ、坊主」
「う……ん……でも、なんかあちこち刀を差した恐いおじさんが隠れてて、あっちへいけって。遊ぶ所なんてどこにもないよ」
え……!
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作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年6月18日 22時