貴方がどれだけ変わっても ページ27
2日後。
元気になったらしい晋助が、ボロクソ言っていた2人をボコボコにしているのを、Aは笑いながら眺めていた。
暫くして、満足したらしい晋助が、屍と化したバカ達に目もくれずにAの元へやって来る。
「A、ありがとうな」
「え?」
「お前、色々先生の手伝いしながら、俺の看病やってくれてただろ。ありがとな」
「……うん!」
大好きな兄にお礼を言われて、Aの表情はたちまち輝いていった。
温かい掌でクシャクシャっと頭を撫でられて、思わず目を細める。
そんな様子を見て晋助は、「猫みてぇ」と言いながら優しく笑った。
「それ、前にも言われた」
「そうだったか?」
「結構前だけど。4歳くらいの時」
「じゃあAは、そん時から変わってねェって事だな」
「強くなったもん!」
「そういう事じゃねェよ」
じゃあどういう事だろう、と首を傾げると、そんな様子が面白かったのか、また笑う。
「良いと思うぜ。お前は、そのまんまで」
晋助が言うなら、そうなんだろう。
自分の事でよく分からなかったけれど、無理にアレコレ訊いて直そうとするのはやめようと思った。
質問を重ねる代わりに、Aは兄を見上げ、その目を真っ直ぐ見て言った。
「お兄はどれだけ変わっても大丈夫だよ。私が変わらずにここに居て、目印になるから。良い方に変わったんなら、『こんなに進めたんだ』って。悪い方に変わっちゃったんなら、『戻らなくちゃ』って。そう、お兄が思えるように」
晋助が、少し目を見開いたのが分かった。
でもすぐにまた笑顔になって、また頭を撫でてくる。
「生意気言いやがって」
241人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - 緋澄さん» 1話目ができ次第、公開させていただくつもりです (2019年6月19日 17時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 時雨さん» 申し訳ありません、実は、続編は準備しただけでまだ1話も書いていないんです・・・! (2019年6月19日 17時) (レス) id: e1a0e02e53 (このIDを非表示/違反報告)
緋澄 - 続編を読みたいのでパスワードを教えて下さい (2019年6月19日 14時) (レス) id: d02144b3e7 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 続編が、読みたいのでパスワードを教えてください。 (2019年6月18日 23時) (レス) id: bfac637d1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆず x他1人 | 作成日時:2019年4月5日 20時