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ほかほかの、卵粥。我ながら、いい出来だ。


薮、起きれるだろうか…俺は冷蔵庫に入っていたポカリの賞味期限を確認してから手にした。寝室に再び入る。


「薮、起きれる?」


汗をだいぶかいてる。


「なぁ、ちょっと汗拭いたほうがいいし、お粥も作ったから…」


薮の肩をトントン、とたたく。


薮が薄く目を開けた。


「ひかる…?」


俺は薮の、汗で額に張り付いた前髪をそっとかき分けた。



その途端、

熱のあるこいつに、こんな力があるのかと驚くくらいの力で、



今まで薮が寝ていたベッドに引きずり込まれた。



驚く俺に構わず、薮は首筋に顔を埋めた。



そして、

「今だけ、」そう言うと



キスをした。


強引に舌が捻じ込まれ、息が苦しい。
薮の口、熱い。口の中全部を舐めとられ、唇や舌を甘く噛まれる。



…俺は薮とのキスに夢中になっていった。




ゆうととは、唇に触れるキスもあれだけためらわれたのに。



今の俺には躊躇いも、理性も何もなかった。

今の俺は、ただ快感だけを追っていた。



山田のことも、ゆうとのことも、この時は、一切考えなかった。



あの時の、雨の中薮にキスされた『コドモ』の俺じゃない。

俺は大人になっていた。




ゆうととの日々が、経験が、

俺を大人にしていた。



どのくらいそうしていたのか、俺の手を掴んでいた薮の力がふ、と抜けて、ベッドにドサリと倒れ込んだ。



俺は簡単に薮の汗を拭ってから、布団を整えた。


そして、薮の家を出た。




限界だった。

これ以上、薮を好きにならないことはできないと思った。
こんなにも、薮が好きだった。


でも、薮は『今だけ』、そう言った。


この想い出は、大事にしまいこんで。
今だけの想い出にしよう。お互い恋人がいる身に戻るんだ。

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まや(プロフ) - ちちちさん» ちちちさん、コメントありがとうございます!よくしろくまさんのページでお見かけしていますちちちさんですよね?|´-`*)遊びにきていただけてたなんて嬉しいですっ! (2019年4月27日 20時) (レス) id: b929bba7e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちちち(プロフ) - ときめきと切なさと背徳感にキュンとしました!最後のゆとひかのゆーとの色気ったら! (2019年4月26日 19時) (レス) id: 666edffd2b (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - しろくまさん» 大好きなしろくまさんにきゅんとしていただけたなら幸せですっ(´∩ω∩`*)ありがとうございます! (2019年4月26日 1時) (レス) id: b929bba7e5 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - まや様、Twitterのやぶひかお話しを上げて下り、ありがとうございます。改めて読ませていただいて、きゅーん(//∇//)やっぱりまや様の学園物は鉄板ですね…!! (2019年4月25日 8時) (レス) id: f22c03c885 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - ねね子さん» 来て下さってありがとうございます(*´˘`*)どうも薮くん病み気味です(笑)ねね子さんに褒められるなんて嬉しすぎます〜(//∇//) (2018年9月30日 22時) (レス) id: 66cf309f23 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まや | 作者ホームページ:http://ma-no homepage  
作成日時:2018年6月5日 21時

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