エチュード(JUMP×JUMP短編集)

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yb side


肩をトントン、と優しいリズムでたたかれる。

俺、夢を見てるのかな？


光がいる。光が、俺の額に汗で張り付いた前髪をそっと分けてくれた。


「ひかる…」


そう言うと、光はふわりと笑った。


夢なら、今だけ。


「今だけ、」


いいよな？


俺は光の腕を熱のこもったベッドに引きずりこんだ。

少し驚いた顔をした光の首筋に顔を埋める。



俺は久しぶりの光に夢中だった。

久しぶりの、光の匂い。掴んだ細い腕、絡ませる指。


唇を重ねる。

夢の中の光は、抵抗せず、受け入れた。


下唇を柔く噛み、口を開けさせる。半ば強引に舌をねじ込むと、光は甘い吐息を漏らした。



上気して赤くなった頬、時折漏れる声、熱くなる吐息。



どのくらい、そうしていたのか。




キスだけなのに、こんなに気持ちよかった。
こんなに幸せだった。




でも、


『好き』は言わなかった。

言えなかった。



ゆうとのものである光に、夢の中でさえ、

俺は『好き』って、


言えなかった。









西日が差し込んで、電気の消えたこの部屋に淡いオレンジの陽が入る。
俺はだいぶ汗をかいていたみたいだ。
じっとりと濡れた部屋着を着替えたくて、布団から出た。

あれ、いつの間に貼ったんだろう。おでこに冷えピタが貼られていた。俺は無意識に貼ったんだろうか…もう乾いたそれをぺり、と剥がした。




すん、
なんかいい香りがする。

香りに釣られてキッチンに向かう。

生姜と、卵の香り。


水分を吸ってしまってぐちゃっとした卵粥が、鍋の中でもう冷めてしまっていた。




今だけ＊fin


―――――――


どうしてボツにしたかというと、薮くん熱出しすぎだし、翌日、薮くんの家に自分に無断で行った光くんに嫉妬したゆうとくんが薮くんの目の前で光くんにキスして見せつけるパターンしか思いつかなかったからです…笑

そこまでいっちゃうと収集つかないからボツにしたんですけど、なんとなーく削除し難くてメモ帳に眠らせていました。

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