異食癖【スカラビア寮】

◇ ページ39

「授業を始める。

　各自自分の席につけ。」


コツコツと靴のヒールの音が聞こえると思ったら、白髪混じりの灰色髪の先生、トレイン先生が入って来た



胸に愛猫のルチウスを抱えながら。






現実だとこの年でもさぞおモテになるだろうなこのおじさん(？)


威厳のオーラを自ら発しているから、気勢だけで私は圧倒されてしまう。





厳しい先生だよなぁ

でも学園長以外の教職員全員厳しいと思う...

目をつけられないようにしないと。




私は持参したノートと教科書を開けて、

授業に取り組んだ。






『...へぇ、なんでだろ、読める、普通に』

不思議だった。

絶対にわからない文字だと思ったけど、目で見つめるだけで頭の中にすぅ、と入って来る。

出来ないことだと思っていたのに、
普通にできるとわかった瞬間の喜びはこういうことなのかな、


嬉しすぎて、気づけばにんまりとした笑顔で教科書を読み込んでいたのを、

誰にも見られなかっただろうか。


うん、そう信じたい。

すると、

「A、三行目の問題の答えを言え」

　

とまさかのトレイン先生から指名が入った。






私の笑顔もしかしてトレイン先生に見られたのかな




私は席から立ち上がって

質問された場所を目で追う。




緊張するんだが



『はい、.......









───えっと、四番目の選択肢でしょうか』



「何だ、その長い間は。」

それに同意するように、ルチウスも口を開けて

「オアアー」

と鳴く。



『す、すみません』

実は答えが分からなくて、勘で選んだんだけど、合っているようで、

座れと指示された。









お尻が椅子に着いた瞬間、私は安堵のため息をついた。



『...良かった...私いきている...』


軽くボソッと呟いたの同時に、

私っていうワードがでてしまったせいで、
周りの人が私の方を向く。




いけない。


僕、でしょ、ボク！


私は慌てて口をつぐんで、誤魔化すように軽く咳払いをしたんだが





トレイン先生からの鋭い眼差しがビームのように射ぬいて来た。


「A」

『す、すみませんでしたっ』


授業中風紀を取り乱してごめんな！！

ごめんなさい！！

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