箸休め 漆 ページ33
伏黒side
今日は誕生日だった。朝起きた瞬間にクラッカーの爆発音で起こされて顔面にパイを投げ付けられた。
大方五条先生の目論見だろう。
別に悪い気はしなかった。けれど、
そこにAはいなかった。
昨日から出張で名古屋あたりに行っていて、帰ってくるのは明日の早朝だと言っていた。
任務なら仕方がない、のは分かってるけど、
一番祝って欲しい奴がいないっていうのは、何だか寂しかった。
去年も、その前も、今までも一番に祝ってくれたのはAだった。
あるときはLINEで、あるときは隣で、電話で、
なのに今年はそれがない、いつもは日付の変わるとき丁度に連絡があるのに、今日はそれすらない。
もしかしたら面倒な任務なのかもしれない。
だけど、やっぱり、
伏「...あと五分で今日も終わりか...」
時計の針は既に23:55を指している。連絡が来る様子は皆無。もしかしたら忘れてるのかもしれない。だとしたら泣くかもしれない。
何だか女々しい気分になってきた。
スマホを充電コードに繋ぎベッドに寝転がる。来ないものは仕方ない。そう思い瞼を閉じた。
バンバンバンバンバンバンッッ
伏「ッッ!?っな、なんだ!!」
突如、窓を何度も叩く音がした。念のため玉犬を呼び出し、後ろに待機させておき、一気にカーテンを開けた。
そこには鼻の頭を真っ赤にしたAがいた。
伏「はっ!?おまっ、何してんだよ!?」
貴『アケテー』
窓越しに聞こえる声は少し震えていた。急いで鍵を開けて中へと入れる。その体は冷えきっていた。
貴『いや〜、恵にサプライズしようと思って任務秒で終わらせてからここ来たんだけど、ちょっと寝ちゃってて、気付いたらこんな時間になっちゃった。』
あははと間抜けな顔で笑いながらAは俺に紙袋を差し出した。
中には犬のコップが入っている。
貴『誕生日おめでとう、恵。生まれてきてくれてありがとう!これからもよろしくね。』
伏「...」
貴『恵?』
首を傾げてこっちを窺ってくる様子が何だか愛おしくて、泣きそうになった。
忘れられてたわけじゃなかった。
伏「...ありがとう」
貴『いいってことよ!ってことで私の誕生日にはちゃんと祝ってよね!じゃ!』
そう言って部屋から出ていったAの後ろ姿を見て笑ってしまった。
今年は、今までで一番良い誕生日だった。そう思う。
─────
恵ぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!おめでとうぅぅぅぅぅ!!!
好きだッ!!!
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メ―(プロフ) - えむえむさん» シスコンネタお好きでしたか!更新頑張ります!ありがとうございます〜!! (2020年12月11日 17時) (レス) id: 3b41dff6e6 (このIDを非表示/違反報告)
えむえむ(プロフ) - 私の大好物のシスコンネタッッッッッ( *´艸`)ニヤケが止まらんです!!!更新頑張ってくださいね(^з^)-☆応援してますよ( ≧∀≦) (2020年12月11日 17時) (レス) id: 25b3ed223a (このIDを非表示/違反報告)
メ―(プロフ) - #菰#夜桜#炎柱#鬼滅オタクさん» ありがとうございます!!夢主気に入って貰えて嬉しいです!更新頑張ります!! (2020年10月30日 7時) (レス) id: 3b41dff6e6 (このIDを非表示/違反報告)
#菰#夜桜#炎柱#鬼滅オタク - すっごく面白いです!夢主の反応が特に面白いです!更新頑張ってくださいね♪ (2020年10月29日 18時) (レス) id: 0f70522e1e (このIDを非表示/違反報告)
メ―(プロフ) - ま〜しろさん» ありがとうございます!最近忙しくて更新遅いですけど頑張ります! (2020年9月20日 19時) (レス) id: 3b41dff6e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メ― | 作成日時:2020年9月12日 20時