二十話(MISSION'20) ページ44
太宰side
私が云った言葉を聞くと、彼女は一瞬きょとんとしてから、あはははっと笑いだした。
『巫山戯ていたのに急に真面目に話し出すから何かと思えば・・・私が死ぬ?あはははっそんな訳無いだろ?新しいネタか?』
ケラケラと笑い続ける夜乃。
突然真面目な話を始めたのは悪かったが、私は少しも巫山戯てなど居ない。
「夜乃、正直に云ってくれ」
『だから私は全くの健康体で・・・』
全く認めず、嘘をつく彼女の目の前に私は、薬の空き袋を突き出した。
それを見ると、彼女の顔から一瞬にして笑顔が消えた。
何処でこれを、と云う様に目を鋭く細め、睨まれる。体感温度が二、三度下がったように感じた。
私は喉をごくりと鳴らし、目の前の物について話し出した。
「これはイマチニブ・・・であっているね?」
反応はない。ただ此方を睨み続けるだけだ。
「イマチニブ・・・遺伝子産物Bcr-Ablを標的とした、分子標的治療薬として開発された抗悪性腫瘍剤・・・抗がん剤だ。そしてもう一つ。ダサチニブ。複数のチロシンキナーゼを標的とし、分子標的治療薬として開発された抗悪性腫瘍剤。これも抗がん剤だ。但し、イマチニブよりも効果が高い。そしてこれらを処方される患者は簡単に特定出来る。君は・・・白血病だね?」
未だ、反応しない。私は続ける。
「部室内で薬を服用しているのをよく見たんだ。気になって名前を見ようとしたけど、自分で処分してしまうから中々見られない。けど、ついこの間敦くんが君に報告へ来た時に、敦くんが突然大声で叫ぶものだから君は驚いて珈琲を吹き出した。そしてそれを敦くんが吹いた。その時に彼は塵紙と一緒に、薬の袋を捨てたんだ。私はその後に丁度捨てる物があってね。これはその時に見つけたのだよ。」
捨ててあった物なのだから、別に私が持ってても良いだろう?と云う様に私は袋をピラピラとして挑発して見せた。
すると突然夜乃が、ばっと立ち上がり何故か何時も持ち歩いている、クイズ番組などで良く見る棒を持ち、ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!!とボタンを連打した。
『いやあ、流石だな太宰くん正解だ!!真逆此処まで調べあげるなんて!!探偵部にスカウトした身として誇らしいよ!!』
先程の雰囲気は何処へやら。あっという間に何時もの夜乃だ。
『いやあ凄いなあ・・・よし!!お祝いに何か一つ言う事を聞いてやろう。何が良い?』
「私は・・・・・・」
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やっさん(プロフ) - にーさんのイメログの、人物夜及さん、だったのですね。それにしても、夜及さんの前に、あの、太宰治さんが手玉にとられるとは(苦笑)。ハッピーエンドで、よかったです。 (2020年4月27日 21時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃子(プロフ) - 月桂樹さん» 相方の代わりに私がお返事させていただきます。いい作品とのお言葉、ありがとうございます。それはCSSの関係でして、本当は後ろに背景が表示されます。読み込みの問題かと思われますので、ご了承ください。 (2019年2月7日 17時) (レス) id: 8aacdcc603 (このIDを非表示/違反報告)
月桂樹(プロフ) - いつも読まさせて頂いております!とても良い作品でお気に入り登録させて戴きました!少し何ですが、白が背景なのでどうしても説明文?が黄色なので見えづらいです…。長文失礼しましたm(_ _)m (2019年2月7日 11時) (レス) id: 5423a3a7ff (このIDを非表示/違反報告)
包帯運び屋の蛞蝓(さぶ) - 有難う御座います!全然更新できてなくて申し訳ないです・・・ (2018年8月29日 21時) (レス) id: 447c5e9774 (このIDを非表示/違反報告)
愛∞ - 包帯運び屋の蛞蝓さん» 大好きです。面白いです。更新頑張ってください! (2018年8月26日 11時) (レス) id: 64e52e5a9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:包帯運び屋の蛞蝓とアイカ | 作者ホームページ:((o(^∇^)o))
作成日時:2018年7月20日 6時