二章 第一話 荒れる心、中也の告白。 ページ12
「嘘だっ!」
私以外誰も居ない部屋に、私の揉み苦茶になった叫びが響く。
嗚呼、誰も居ないんだと、しんみり思うと、何故だか、涙が込み上げて来た。今まで、ずっと、愛したい、愛されたいと思ってた人物に、愛想が切れて、違う人の事を好きになってしまった。後悔よりも、何故だか、これからの新しい希望の方が多かった。
でも、込上げて来た涙は、停められず、頬を慕って、机に置いた手に落ちる。
近くのティッシュを取り、涙を拭う。本棚にあった一冊のアルバムを取り出し、机に置いた。無造作に置かれ、開いた
デイトだったり、日常だったり。
ただ、記録に残したいなと思った写真を保存しているだけであった。まるで、そのカラアの写真は色褪せたモノクロの様にも見えてしまった。
「ピーンポーン、オイ!A、居るか?」
玄関のチャイムが鳴り、中也の元気な声が聴こえる。
大きく聴こえるその声も、まるで遠く、どこか地球の真反対で叫んでいるような気がした。通話
「い、居るよっ!中也、如何したのっ?」
「何だ?何かあったのか?」
「えっ!?え?別に、何も無いよ〜!!」
元気に話そうとするけれど、何処か違和感を覚える自分の声。
それに気づいたのか、中也は入れてくれと云った。勿論、普通なら善いよと、心を許して入れてしまうだろう。でも、今日は今日だけは入れられない。如何してもって程じゃぁ、無いんだけれど…。
「え、ちょっと待って!だったら、何処かで今度逢おうよっ!じゃあ、今日の喫茶店で如何?何時でも善いから、連絡頂戴っ!でも、今日は、今日は帰ってくれない?」
「嗚呼、都合は判った、……」
「じゃ、じゃあ、今日は……」
「否、無理だ。伝えたい事があるんだ。」
駄目!駄目、絶対に駄目っ!何を云われても、泣いてしまう!
自信がある。だから、お願い、中也。今日だけは今日だけは、云わないでその言葉を。お願いだから…。
「A、好きだ。結婚してくれ」
御免、中也。中也の事、好きじゃないみたい。
*****
それは、雨の降った湿気の多い日。
私が中也を嫌いなった日。中也と赤の他人として生きようと思った日。願いが変わった日。重い思い心の鎖が外れた日。
御免、中也。
私、肩にぶつかったあの人のことが好きなんだ。
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のんこ(プロフ) - じゃあ今日塾で渡しとくね。 (2018年8月1日 17時) (レス) id: eb60c4dd1a (このIDを非表示/違反報告)
のんこ(プロフ) - ブラウン・レビット・Lさん» どこにですか? (2018年8月1日 17時) (レス) id: eb60c4dd1a (このIDを非表示/違反報告)
のんこ(プロフ) - うわあい!あともう少しで10000htやないですか!!頑張ってください!!! (2018年8月1日 15時) (レス) id: eb60c4dd1a (このIDを非表示/違反報告)
長月冬麻(プロフ) - すっごいドキドキします、色んな意味で。乱歩さんがいつになく可愛くて、中也さんが推しなんですけど、やっぱり乱歩さんも好きなので、夢主ちゃんに感情移入してしまって、苦しいです。婚約してる彼がいるのに一目惚れしてしまった、中也さんがどうなるか気になります。 (2018年8月1日 10時) (レス) id: 0ab6a974b3 (このIDを非表示/違反報告)
火炎龍音覇(プロフ) - ポーレンカさん» 指摘、ありがとうございます。色つきが多いのは本文と変えるためです。短いと感じるかもしれませんが、余り改行をしていないので、そう感じるかもしれません。改善は出来る箇所はさせて頂きます。 (2018年6月23日 22時) (レス) id: 7aec75057c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤本凌&醤油_syouyu_ x他1人 | 作成日時:2018年4月30日 8時