【文スト】噂の最強異能力者は華麗にヨコハマを闊歩する

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『人喰い虎？
ふむ………………ベディヴィエール』


「えぇ。私の情報網にも最近その手の話題が持ち上がっています」


『何故それを私に報告しなかった？』


「伯爵(アール)は御隠居の身。それに最早ここは、欧州では無いのです。身を隠すと決められた今、その博愛主義と正義感に蓋をして、探偵社なりマフィアなりにお任せするのが道理かと」


『………ふむ。お前の言う通りだ。この世に私の席は無いと思い立ってここにいるのだから、手も足も引っ込めておくか』


「ご英断です」


『………さて、それよりも…………



敦くん？一体どうしたのかな？』


「ｴｯ」



人喰い虎の話題が出て、2人の雰囲気が少し不穏になりつつあったが、その後ろで速やかに店を出ようとしている少年がいた



「え、あ、いや、その、


や、やっぱり僕はこれで失礼します！！！」


『えっ？！あ、敦くん！！』



一体どうしたと言うのか


急に慌てて外に出ていってしまった

しかし数秒後、何かとぶつかって転ぶ少年の声が聞こえたので、暫くはその辺で転がっていることを悟ると、執事と共に苦笑しあい、ウエイトレスに礼を告げて少年が走った方向に駆け足で進んでいく


少年は案の定、少し先の曲がり角で人とぶつかったようで、ぶつかった人はそのまま立っていたが、その人の体幹が良かったのか、少年の方はやはり転がっていた



「まったく、何処を見て歩いているんだ小僧。お前のせいで俺の予定が10秒遅れただろうが！！」


「ご、ごめんなさいっ！」


「国木田くん、そんなにカッカしてないで早く起こしてやりなよ。曲がり角なんだから、君は兎も角この少年は良けれなくて当たり前だよ」



何やら厄介な2人組みに絡まれて居るようだ

ならば助けなくてはならない。人食い虎の件についても、それ以外のことについても、まだ彼には聞きたいことがある



『敦く((』


「伯爵(アール)、その辺で」


『え？』



しかし、彼に近寄ろうとした所を執事に止められる

丁度ここは街灯のライトが当たらないギリギリの暗闇で、渦中の3人は丁度街灯の下にいた



「伯爵(アール)、あの二人は武装探偵社の社員です。おそらく、人喰い虎の件でここにいるのでしょう。

我らはここまでです。先程も言ったように、ヨコハマの事件はヨコハマの組織に任せましょう

彼らには敦くんが必要(・・・・・・・・・・)です」


『……………』

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