【文スト】噂の最強異能力者は華麗にヨコハマを闊歩する

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彼女が少年に何かを問おうとしたその時、盆に人数分の茶漬けを乗せた先程のウエイトレスが、柔らかい声で商品の到来を告げてきた



『なんと！もう出来上がったのか！』


「それに早い割に出来栄えも素晴らしい！流石はジャパニーズクオリティです！」


『こんなに美しい見た目をしておいて美味でない筈が無い。私は確信している。』


「では伯爵(アール)。いただきま((」


「いただきまーす！！！」



しかし、2人が感嘆の意を舌に乗せきる前に、少年は余程腹が減っていたのか、箸を手に取って茶漬けをかきこみ始めた



『…………ふふっ、では、我らも茶漬けを頂こうか』


「えぇ、伯爵(アール)」


『「いただきます」』


このニッポンに来て覚えた、食前の挨拶を終え、最近かなり頑張って習得した箸を扱いながら、汁に浸かった米と1口サイズの鶏肉に、トロトロとした卵を絡めて、口の中へ入れた



「…………！なんと！」


『ん〜〜！！Ausgezeichnet！！』



まろやかな口当たりでありながらも、それらを薄めることなく、寧ろ引き立てている汁の存在感がなんとも言えぬ塩梅を作り上げている
若鶏の肉はあっさりとした肉汁を溢れさせ、卵と汁と合わさり、しつこくない絶妙な旨味を引き立てている
そして流石は日本産の白米の食感。ほのかな甘みとしつこくない口当たりは至高の存在であると言えるだろう



『素晴らしい……この世にこんなに美味な料理があろうとは……』


「世界は広う御座いますね、伯爵(アール)」


『そうだなベディヴィエール。是非とも、これは母国の皆に伝えなければ』



量は差程多くはなく、しかしそれは一口一口を味わって食べることを目的とされているに違いなく、それは日本の慎ましくも心情に語りかける文化の極意であると感じられ、それはまさに欧州には無い文化


まだまだ世界は広く、まだまだ人の知識に限界は無い



そのように色々考えながら、ゆっくり味わって食べていると、ふと正面から視線を感じた

気にって向けてみると、そこには既に茶漬けの食べ終わって、物欲しそうにこちらを見ている少年と目が合った


今にもまた腹の虫が鳴りそうな彼の話を、彼女は笑いだしそうになるのを堪えて、近くを通り掛かったウエイトレスに再び声をかけた



『すみません。彼が所望するありったけの茶漬けを作ってあげてください』

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