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茶漬け、なるものを求めて、昨今の優秀な検索機能付きの携帯電話の力を借り、巡り巡った先に辿り着いた店に入る
案内された席で、執事が茶漬けを頼むと、嫌な顔をせずに人当たりの良い笑顔を向けたウエイトレスが朗らかな声で返事をし、キッチンへと戻って行った
テーブルの上には、何やらビニールに包まれたハンカチのようなものと、見たことの無いカップに注がれた緑色の液体がある
『………成程。これが噂に聞く《おしぼり》と《緑茶》と《湯のみ》か。』
「おしぼりはまだ冷える今の季節に合わせ、温かい温度で出される。ニッポンのおもてなしの心には感服せざるを得ませんね」
『うむ。それに、この店のなんと落ち着くことか。
見給え、ベディヴィエール。向かい側の席は、椅子ではなく座敷となっている。あれが噂に聞く《畳》と《お座敷》とやらなのだな』
「おぉ……なんて温かな気持ちにさせてくれる香りでしょう。花や果実の甘く華やかな香りでなくとも、このような素晴らしい香りがこの世にはあったのですね」
『帰ったらすぐ、この畳とお座敷を我が家に取り入れよう。ついでに緑茶を入れるためのティーポット……なんと言ったか……あぁ《急須》なるものを取り寄せるように』
「かしこまりました、
目の前で繰り広げられる会話に、目の前の少年は全くついていけないようだ
欧州の貴族然としており、初めて見る日本文化に和気藹々としているその様はまるで観光客である
この和文化で纏められた店内で、2人の姿はかなり浮いていた
幸い自分達以外に客はいなかったから良いものの、人がいたらかなり目立っていた筈だ
『………さて、少々はしゃぎすぎてしまったが、茶漬けが来るまで少し話をしよう。まずは自己紹介から
私のことは………そうだなAとでも呼んでくれ。最近ヨコハマに越して来た金持ちのボンボンだよ
そしてこっちは、私の従者のベディヴィエールだよ。頼りになる良い執事さ』
「ベディヴィエールです。よろしくお願いします」
そう言って、キラキラとした輝かしいオーラを放ちながら名を告げる2人に、少年はタジタジであった
同じ机を囲むのも烏滸がましいくらいに、彼らと自分では住む世界が違いすぎるのだ
そんな少年の葛藤を知ってか知らずか、Aと名乗った彼女は、こちらに目線をなげかける
『それで、君の名は?』
「あ、えっと、中島敦です」
『ほう。敦君だね。
では敦くん。私は君に聞きたいのだが………』
「お待たせしました。若鶏と白湯のお茶漬けで御座います」
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ニコニコマーク! - ふぅ…敦くん?ちょーっとそこの位置代わってもらえないかな?代わらなくてもいいから取り敢えず敦くん達が座っている席の近くの壁になりたい…今すぐ二次元に行きたい… (2022年12月6日 6時) (レス) @page43 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
ニコニコマーク! - すみません…今思ったんですけど、坂口安吾の異能力が『堕落論』だった気が… (2022年12月5日 17時) (レス) @page4 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - 攻め…?攻め⁉︎攻めと言いましたか作者様。マジでございますか?スゥーーーーーー、フゥーーーーーーーーーー、控えめに言って神ですか。神でしたね!そうでした!無理のない程度に頑張って下さいね! (2022年11月17日 16時) (レス) @page48 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
ツバキ - こんにちわ 好きです。 かっこよすぎません?????強い女性好きです。神に出会ってしまいました!!! 更新待っています が無理はしないように頑張ってください!!!!! 楽しみです! (2022年11月16日 18時) (レス) @page47 id: 7f6eba9c4e (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - スゥーーーーーーーー…好きです。なんですか、神ですか。神でしたね‼︎無理無理夢主様カッコいい…そして遂にポートマフィアに接触しそ〜!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!更新待ってます!頑張って下さい! (2022年11月16日 16時) (レス) @page47 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
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