【文スト】噂の最強異能力者は華麗にヨコハマを闊歩する

・3 ページ41

『ところで……一体皆でなんの話をしていたのかな？私達も混ぜておくれ。』


「あぁ、社員の前職当てですよ。探偵社員は入社直後、探偵修行の一貫として、先輩の前の職業を当てるのです。所謂、簡単なゲヱ厶ですね」


『ほう？なかなか面白いことをしているじゃないか。けれど、それは私の得意分野と言える。瞬時に当ててご覧に入れようか』



執事の服装のことを一通り褒め終わってスッキリした面持ちの彼女は、敦が座っている席の隣に腰掛け、背後に執事を従えながら、自分がここに来る前の話題を尋ねる

その問いに太宰が恭しく答えると、彼女は自信満々に声を上げると、まずは目の前にいる谷崎兄妹の前職を当てる



『お2人は学生だね。ナオミさんの学生服からも垣間見えるが、潤一郎君も歳は我が愛し子と同じくらいだろう？故に、君達は学生だ。違うかい？』


「せ、正解です！」


「先程の敦さんとほぼ同じ回答ですわ！！凄い！本当に血が繋がっている親子のようですわね！」


『おや、嬉しいことを言ってくれるね。ナオミさん
勿論、我が愛し子とは血の繋がりは無いが、ここでの我々は親子だと思ってくれて構わない。そうだろう？敦くん？』


「え、あ、あの……」


「………………」



ナオミの賞賛の言葉に、彼女は嬉しそうに笑うと隣に座る敦の頭を引き寄せて自らの頭に寄せて軽くスキンシップをとる。

欧州では良く行われる家族間でのコミュニケーションの一つではあるが、純日本人の敦にとっては中々にハードルの高いものであったようで、彼女の問いかけには声が出せなかったようだ

けれどその表情は照れくさいような恥ずかしいような、頬を上気させた笑みを浮かべており、見る人にとっては、それは無言の肯定と言えるだろう。それを正面から見ている谷崎兄妹にとって、それは仲睦まじい親子そのものである


そんな2人を面白くなさそうに見ているのは太宰であり、それを隣の国木田は見逃さなかったようで、いつも喧嘩ばかりであまり太宰と関わろうとしない国木田が、興味深そうに太宰の横顔を観察している


手に取るコーヒーを口に含みつつ、ゆっくりと自分の中で吟味しても、結論は全て太宰らしくないことと、久々に面白いと思えるような出来事であるということがわかった


さて、この唐変木を後でどう揶揄ってやろうか、国木田の口角は珍しく上がっていた



_____全く、罪作りな人だ、と執事は周りを見渡して、苦笑のため息を着いた

・4→←・2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す