【文スト】噂の最強異能力者は華麗にヨコハマを闊歩する

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ミスター・フクザワ、基、福沢諭吉


彼女が手を振って呼びかけた彼は、着物の裾に手を入れて静かに座っていた所を、目を閃光のように光らせて、彼女を見る。いや、睨むといった表現が正しいだろう


そんな彼の様子に、あぁ怒られるのだろうな、と腹を括った彼女は、静かに歩いて彼の座る席へと向かう


部屋の奥の方にある、外からはあまり見えない席には、調度品の中でもかなり立派なソファが置かれており、福沢はその真ん中に座っていた



『私の呼び出しに応じてくださったこと、心からの感謝を申し上げます』


「挨拶は良い。まずは座れ。」



簡潔に、かつ絶対的な強制力を感じざるを得ない言葉に、彼女は苦笑する
そして、彼の向かい側に低い机を挟んで置いてあるソファに座ろうとした所を、福沢に腕を引っ張られて隣に座らされた

そして、福沢はその手を彼女の頬に添える
彼女を見つめるその目は、大きな慈しみの情が見えた



「…………痩せたな。ちゃんと食べているのか」


『……毎日世話を焼いてくれる執事が居ますから』


「………なら良い。」



そう言って福沢は、頬に添えた手を下ろした

そして、慈しみの情で溢れた視線を瞬時に変えて、今度は咎めるような表情で、片手で彼女の頬を鷲掴んだ



「それはそうと何を考えているお前は！！」


『いだだだだだだだだだだ！！！』


「手紙で一言『仕事やめました。ヨコハマに行きます』では無い！！事後報告は辞めろと何回言えば解る！！！
それに、お前が辞めたことで世界が今どうなっているか分かっているのか！！」



さて、ここでそろそろ2人の関係についてお話しよう


方や彼女の頬を鷲掴んでいるこの男、福沢諭吉
今をときめく武装探偵社の社長、彼女の年の離れた友人にして、頼れる兄貴分である

方や福沢に鷲掴まれているこの女、言わずもがな主人公
年に１回のペースでニッポンのヨコハマに行くことを始めた10歳の頃に、立ちはだかる強敵を偶然出会した彼と共に打ちのめした時から妙に懐いている妹分である


2人に電子機器でのやり取りなど似合わず、常に手紙で連絡を取り合っている仲である



『しゅいましぇん、あにうえ、いあい、いあいでしゅあにうえ。ほぉがなくなりましゅ』


「許さん。今すぐ欧州へ帰って復職して来い」


『りゆうがあるんでしゅ！！でしゅからきいてくだしゃい！！いあい！！あにうえ！！』

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