たまには傘が必要なわけである ページ30
「えぇ?!僕が虎だったんですか?!」
『そうとも。君の言っていた虎というのは、所謂精神体の物だね。街を荒らしていた人食い虎は、異能に呑まれた君だったのだよ』
「な、何故それを早く……」
『事情が変わったからね』
家を出て、街中へと繰り出した一行は、探偵社を目指して歩を進めていた
途中、何やら太宰と耳を寄せあって話をした彼女は、そういえばと敦に伏せていた虎の正体を暴露した
事情が変わったとはどういうことか。
なぜそんなにサラッと言えるのか。
敦には疑問だらけだったが、それを聞こうにも彼女にまぁまぁと宥められてしまう
「ぼ、僕が……異能力者だなんて」
『ふふっ、かなり慌てているようだが、別に悪いことじゃない。選ばれし者の高貴なる力でもなければ、それを使って世界を救わなければならないという訳でも無いからね
けれど、異能は完全に君の味方じゃない。
それは、これからの君次第だがね』
「……………」
静かなる慈愛の目は、敦にそれでも微笑みかける
異能を持つものは勝ち組?いや、違う
制御できなければその身を滅ぼす病魔であり、制御出来ても、戦力を欲する異能組織に狙われる
言ってしまえば、持っていてもそれに気付かない方が幸せな時もあるのだ
『さて、私の付き添いはここまでだ。敦くん、太宰くん。また探偵社で落ち合おう。敦くんの付き添いは、ベディヴィエールに頼むから』
「………!」
「え?Aさん、何方に行かれるんですか?というか、一緒に探偵社で事情聴取を受けるんじゃ……」
『私の事情聴取はベディヴィエールが代わりにやって来てくれ。頼んだよ』
「お待ちください
『ベディヴィエール。心配いらないよ。用を済ませたら私も直ぐに追いつくから、
「……………………」
しかし突然、 別行動を告げた彼女
常に行動を共にしている執事をも遠ざけて、何処かへ行こうとしている
「その用とは、一体どのような物なのですか。お教えして頂けないのなら、その命は承服しかねます」
『言うまでもない野暮用だ。聞き分けなさい、ベディヴィエール』
「いいえ、
『ふむ………』
忠誠心が強すぎるこの騎士は、時に頑固な一面を見せる
後ろでは敦がオロオロとしており、太宰が面白くなさそうな顔をしているが、執事は気にしなかった
『………仕方ない。では、強行突破だ。
探偵社で、また会おう』
そう言った彼女の姿は、次の瞬間には消えていた
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ニコニコマーク! - ふぅ…敦くん?ちょーっとそこの位置代わってもらえないかな?代わらなくてもいいから取り敢えず敦くん達が座っている席の近くの壁になりたい…今すぐ二次元に行きたい… (2022年12月6日 6時) (レス) @page43 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
ニコニコマーク! - すみません…今思ったんですけど、坂口安吾の異能力が『堕落論』だった気が… (2022年12月5日 17時) (レス) @page4 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - 攻め…?攻め⁉︎攻めと言いましたか作者様。マジでございますか?スゥーーーーーー、フゥーーーーーーーーーー、控えめに言って神ですか。神でしたね!そうでした!無理のない程度に頑張って下さいね! (2022年11月17日 16時) (レス) @page48 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
ツバキ - こんにちわ 好きです。 かっこよすぎません?????強い女性好きです。神に出会ってしまいました!!! 更新待っています が無理はしないように頑張ってください!!!!! 楽しみです! (2022年11月16日 18時) (レス) @page47 id: 7f6eba9c4e (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - スゥーーーーーーーー…好きです。なんですか、神ですか。神でしたね‼︎無理無理夢主様カッコいい…そして遂にポートマフィアに接触しそ〜!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!更新待ってます!頑張って下さい! (2022年11月16日 16時) (レス) @page47 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
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