【文スト】噂の最強異能力者は華麗にヨコハマを闊歩する

・2 ページ25

『やぁ、おはよう敦くん。よく眠れたかな？』



敦が2階の寝所から下に降りると、そこは2階の調度品よりかは豪勢さが抑えられたクラシック調度で纏められ、比較的白でまとめられたクリーンな雰囲気となっており、庭に咲く薔薇と相まって、精錬された瑞々しい華々の香りが広がる、爽やかな空間が整えられていた


そんな空間の中心に位置する白い大理石の長テーブルの上にセッティングされたカトラリーを前に、優雅に朝のハーブティーを嗜む彼女が居た


本日の装いは、マリンブルーのスーツスカートに黒いタイツを履き、白のブラウスに黒いリボンと青いサファイアがはめ込まれたループタイをつけた、できるキャリアウーマンスタイルである
髪型も今日は三つ編みを解いておろし、耳元に青色の薔薇の飾りをつけている
昨日のパリコレモデル風と比べると、些かこちらの方が雰囲気が柔らかく見え、敦はドキマギしていた



「えっと、宿も貸していただいたばかりか、眠ってしまった僕をここまで連れてきてくれて、ついでにお風呂も服も貸して頂いて……本当にありがとうございます」


『良いんだよ。これも何かの縁だからね。
孤児院を追い出され、親がいないと聞いたので、勝手に君を私の息子のように思ってしまったのだよ。だから、あまり頭を下げないでくれ。』


「は、はぁ………」



敦は、彼女の告げる言葉をあまり深くは理解できない

けれど今回の言葉はそのままの意味だと思いたい。
自分が誰かの息子であったことは1度もなかったのだから、彼女が少しでもそう思ってくれるのなら、今はそれに甘えていたかった



『さぁ、食事にしよう。
今日はベディヴィエールが君のために米を炊いたから、和食風の朝食だ。おかわりもあるから、好きなだけ食べるといい』


「こ、米！！！」



そう言って目を輝かせたのを合図に、執事が金のワゴンに様々な料理を運んでやって来た


本日のメニューは、白米、大根とワカメと豆腐の味噌汁、焼き鮭、菜の花のからし和え、納豆の卵溶き、の日常的な和風メニューである



「うわぁ！美味しそう！！」


『あまり凝った物を出さなくてすまないね。私もベディヴィエールも、まだまだ日本料理は修行中なのだよ』


「いいえ！そんなことないです！昨日の茶漬けと同じくらい光って見えます！！」


『光る？？』



敦の言い回しに首を傾げるが、今はそんなことどうでも良い



『では、頂こうか』


「いただきます！！！」

・3→←愛し子よ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す