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「震えているね、少年。虎が怖いのかな?」
「え、えっと…………当たり前じゃないですか。僕はずっと彼奴に襲われてきたんですし。彼奴には誰も敵いませんよ」
先程から彼女としか話そうとしなかった太宰が、震える敦に声をかけた
急に話を振られた敦はキョドりながらも声を放ち、その様子が奇怪なものだから、紙を走らせるペンを止めて、彼女も2人の会話に耳を傾ける
「心配要らないよ。虎なんて、私の敵じゃないさ。
これでも、武装探偵社の一翼を担う者だからね」
「…………っ!
そ、その、さっきから会話にちょくちょく出てくるその名前って………もしかしなくても……っ」
「あぁ、その通りさ。
君が思うとおり、最近音に聞く異能集団。探偵と言っても、猫探しや不貞調査等は行わない。軍や警察に頼れない危険な仕事を専門にする探偵社。昼の世界と夜の世界の間を取り仕切る薄暮の武装集団、等等、様々な呼ばれ方をしているね」
「…………本当に、探偵社の……」
「まぁ、私もそこそこの強者であることは自負しているけれど、君が助けてもらったあの御仁はもっと強いよ」
「えっ……?」
そう言って、太宰は彼女に視線を向ける
先程から二人の会話に耳を傾けていたことは、とっくに知られているようだ
「どうです?Aさん。彼の恐怖が薄れるように、ちょっとした昔話でもして差しあげては?」
気晴らしの話を強請るにしては、かなりの特級ネタではないか
敦も興味を引かれてしまっているし、その堀から埋めようと思ったのだろう
だが、否が応でも喋らせようとするにはガードが緩い。まだまだ本気はこんなもんじゃないぞ、とでも言いたげであるが、いちいち力を片鱗を見せるのが好きな男である
『生憎だが、私に関する情報は、時計塔より世界規模に渡る情報秘匿を受けていてね。おいそれと一般人……しかもいたいけな青少年においそれと話してしまうのは、現在でも私を守ってくれている我らが
「おや、意外とガードが硬い」
『私の秘密は時計塔の秘密。ここは聞き分けなさい、太宰少年?』
「ハハッ、構いませんよ。ここで聞き出せるとも思ってませんし」
そう言って、太宰は笑う
敦はキョトンとした顔で彼女に視線を向けていたが、彼女は優しく微笑むだけでこれ以上は話してくれなさそうである
代わりに彼女は手に持っていたバインダーを執事に手渡し、木箱から飛び降りて立ち上がった
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ニコニコマーク! - ふぅ…敦くん?ちょーっとそこの位置代わってもらえないかな?代わらなくてもいいから取り敢えず敦くん達が座っている席の近くの壁になりたい…今すぐ二次元に行きたい… (2022年12月6日 6時) (レス) @page43 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
ニコニコマーク! - すみません…今思ったんですけど、坂口安吾の異能力が『堕落論』だった気が… (2022年12月5日 17時) (レス) @page4 id: 23150a6704 (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - 攻め…?攻め⁉︎攻めと言いましたか作者様。マジでございますか?スゥーーーーーー、フゥーーーーーーーーーー、控えめに言って神ですか。神でしたね!そうでした!無理のない程度に頑張って下さいね! (2022年11月17日 16時) (レス) @page48 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
ツバキ - こんにちわ 好きです。 かっこよすぎません?????強い女性好きです。神に出会ってしまいました!!! 更新待っています が無理はしないように頑張ってください!!!!! 楽しみです! (2022年11月16日 18時) (レス) @page47 id: 7f6eba9c4e (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - スゥーーーーーーーー…好きです。なんですか、神ですか。神でしたね‼︎無理無理夢主様カッコいい…そして遂にポートマフィアに接触しそ〜!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!更新待ってます!頑張って下さい! (2022年11月16日 16時) (レス) @page47 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
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