【文スト】噂の最強異能力者は華麗にヨコハマを闊歩する

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『話を戻すが、君達が探している人喰い虎とは、どのような奴輩なんだ？』



国木田との握手を済ませ、一行は再び例の虎の話に戻る
その途端に、彼女の隣を歩く敦がビクッと身体を震わせた



「はい。それについては((」


「私が説明します。Aさん」



国木田が手帳を開き、事件の詳細を伝えようとしたその時、その言葉に被せて太宰が名乗りを上げた

国木田は今すぐ叫び出しそうになっていたが、現在は街中であり夜である事を考慮してギリギリ抑えたらしい



『ふむ。聞こう』


「人喰い虎と言いますけど、実際に人を襲ったかは定かではありません。主な被害としては、畑の作物を食べたり倉庫を荒らしたりと、好き勝手な動向が多く見られます」


『………成程。近くの動物園から虎が逃げ出したとかではないのだね？』


「周辺の動物園からはそのような話は出ていません」


『密輸入の線は無さそうだね。ポートマフィアが見逃す筈が無さそうだし………故に、異能の線を疑ったわけだね』



隣で話を聞く敦の震えが尋常ではない気もするが、それをいなしつつ、太宰の話に耳を傾ける



『ふむ。大体把握した。では、そろそろこちらの少年の話を聞いてあげようじゃないか』


「………えっ、僕ですか？」


『君以外に誰が居ると言うんだい？先程から虎の話題に敏感に反応しすぎではないかな？』



急に話を振られた敦は、更に大きく肩を跳ねさせる

口はもごもごと覚束無いが、彼女の圧に負けて少しずつ話し始めた



「……2週間前から、虎の影が僕の後を着いてくるんです」


「……はぁ？！」


「鶴見の辺りを歩いていた時も、ずっと……」


「…………」


「何処に行っても着いてくるんです。だから、この辺りに虎が出るなら、に、逃げないと……っ」


『…………ふむ』



そう言って、敦は再び震え出す

余程怖い思いをしたのだろう。その姿は些か同情心を買った



「それに、僕の孤児院、虎に襲われたんです」


『！』


「畑も、鳥小屋も、全部彼奴に襲われました
それで、経営が立ち行かなくなった孤児院は、口減らしに僕は追い出されました」



彼の話は重く、悲しく苦しい背景を背負っていた
その話を聞いた国木田までも、同情を寄せる程に



『………すまない、太宰くん、国木田くん。私は虎探しは辞退する』


「えっ」


『敦くん。その孤児院とやらの住所を教えてくれないかな？？ちょーっとそこの院長と職員とやらに色々言いたいこととやりたいことができたので((』


「伯爵(アール)！！今はご辛抱を！！」

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