過保護/19 ページ21
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どんどん人気の無い所に向かっていく飛雄
歩く足は早いし握られてる手は及川さんの時とは違って痛い
「ねえ手痛い…離して」
痛いと言うとさっきまで手に入っていた力は一気に抜け優しく握られたが離してはくれない
「離さない」
「なんで」
「お前逃げるから」
「逃げないよ」
「今日6回目合って全部逃げただろ」
「それは心の準備が」
正論を言われて苦しい言い訳をすると飛雄は急に立ち止まりこちらを向いて私の目をじっと見てくる
整った顔立ちに吸い込まれそうな瞳、数分間の沈黙を先に破ったのは相手だった
「ごめん」
一言だけ言って手が離れる
状況の把握がイマイチ出来ていない私が「えっと、」と呟くと
「中3の時声掛けてくれたのにイライラしててお前に八つ当たりしたから、その…悪かった」
こちらを見て頭を下げてくる飛雄に驚いて取り敢えず頭を上げてもらう
「謝るのは私の方だよ、飛雄の気持ち理解してなかったし何も考えないで行動しちゃってごめんなさい」
「いや俺がガキだったすまん」
謝りあっているとエスカレートして自分の方が悪いという主張大会になってしまいお互いに譲らなくなって思わず笑みが零れる
「なんか、中1の時飛雄のサーブを私が顔面で受けた時みたいだね」
「あー、懐かしいな」
女バレの部活見学をしていた中1の頃、男バレはジュニアチームを数人混ぜて練習していた、その飛雄のサーブを顔面で受けて倒れたことがある
ここにボールが飛んでくると頭の中で理解していたのに居た私が悪いと言うと人居るのに打ってしまった自分が悪いと主張する飛雄
お互い譲らなくなって結局喧嘩両成敗!って金田一くんに止められた
「飛雄優しいね」
「お前だけにな」
飛雄の言葉は私の携帯の着信音で消され何を言ったか聞き取れなかった
「ごめん飛雄、もしもし及川さんどうしたんで…」
「Aちゃん今誰とどこにいるの!!?」
「飛雄と、、、え、ここ何処?」
と飛雄の方を見ると首を横に振る
え、もしかして迷子?
と困惑しながらも及川さんに分からないですと伝えると「今からまっつんが迎えに行くからそこに居てて!」と念を押されると5分後
「よし、帰るぞ」
「本当にまっつん先輩来た…なんでここって分かったんですか」
「あー、それはGP…」
「ごめんなさいそれ以上言わないでください」
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