【歌い手】ようこそ、夜想曲サーカスへ。【CIRCUS】

story20. ページ21

今週の演目、トップバッターはまふ月。



玉乗りやジャグリング、自転車乗りなどの

普通のサーカスでいう、言わば「ピエロ」役である。




まあ、厚化粧するわけでもないし、
見た目は全然ピエロっぽくないんだけどね。







「皆さん、今日は楽しんでいってくださいねー！」






観客たちは、きっと困惑中だ。


サーカスを観に来た覚えなんてないのに。

こんな所、見たこともないのに。


なんで、自分は今ここに居るんだ、って。








そんな疑問すら吹き飛ばしてしまうような
明るい声で、天月君が言葉を放つ。






そして、間髪を入れずにまふ君が芸を繰り出す。


まふ君はめちゃくちゃ人見知りするから、
客に向かって話しかけることは一切ないのだが

とにかく、楽しそうに芸をする。





天月君は基本１人で芸をすることはないけど、
その分まふ君とのコンビは本当にすごい。

無駄な動きというものが全然なくて、
３６０°どこから見ても洗練された動き。


影で努力しているのか、
元々の持っている素質なのかは分からないけど。




トップバッターとしては、上々の出来だ。







「鹿乃ちゃん、ゆりん君。準備してー」





ナノさんが声を掛けると、奥から２人が出てきて
２階へと続く階段を上っていった。

今日も双子衣装で、すごく可愛い。


鹿乃ちゃんの可愛さもさることながら、
ゆりん君のあの女子力は何なんだろうと毎回思う。


まあ、つまりは２人とも天使というわけだ。



そんな事を考えていると、
ナノさんが天月君に合図を出していた。






「さてさて、お次は可愛らしい２人の登場です。

皆さん、空中をごらんください―――――！！」









そう言ったと同時に、
両端から２人が空中ブランコに乗って出てきた。


ここからは、空のステージの始まりだ。

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