５章。お出かけ。 ページ5
町境にて。
「ふむ…やはりバケモノは山ほどおるなぁ…」
イーハトーヴの丘から隣町へ続く道の途中。
それはそれは綺麗なバケモノがうじゃうじゃいた。
あるものは青く深い色をしており、身体中から沸騰したような泡が出ていたり、
またあるものは純黒の羽を持ち、目からは炎を出していたり。
幸い、誰もこちらに気づいていないようだ。
「………私の故郷も…闇の星に…」
ギリっと歯軋りをし、眉間を寄せる。
だが、すぐにそれも止み、悲しそうに眉を下げた。
「…それでも…あの人ら…バケモノらは悪くない…。」
そのまた昔。
遠い北の国にてルムジム、雪宮鵺は生まれた。
その名は”
異名は、旅人の国。
今こそ、廃れてしまったが、昔は賑やかな国だった。
疲れの果て、流れ着いた旅人や、魔法少女、船乗りなどを歓迎した。
大きな温泉、宿もあちらこちらにあったし、食べ物に困ることはなかった。
その人たちも、いつかは旅立っていくのだが、最終的にはこの国が忘れられないと、住人となる。
幼いルムジムも、よく旅人らと遊んだものだ。
７歳の頃、
「なぁ！おんしら、異国の者じゃろう！？異国はどんな感じなんじゃ！？」
タタタッとその人らに駆け寄り、よくそう言った。
「そうだねぇ…。僕の国はね、大きな煉瓦造りの家があってね、それで夏になると花火をあげるんだ。お祭りというんだが…」
「そこでは、沢山の食べ物があるのよ！おもちゃもいっぱい！ねぇ、あなた今度私たちと共に旅に出ない！？」
男の人の話を遮って、美しい女の人が、笑顔で話しかけてきた。
「なにっ！それは誠か！？ついていってもいいのか！？私は行きたいぞ！！」
キラキラした目で、二人を見るルムジム。
「いい返事だね！それじゃあ、君、親は？」
にこやかに話す男の人。
「んー？んー…親かぁ…いつの間にか消えたのう。」
キョトンとした顔で、とんでもないことを言う。
「え、ちょ、消えちゃったの！？悲しくないの！？」
女の人が、慌てたように言うが、ルムジムは平気そうにこくりと頷いた。
「だって…のう？顔すら覚えとらんしのぅ…」
不思議そうな顔をして、首をかしげる。
数秒の静寂が流れるが、ぱんっと手を叩き、男の人はにっこりと笑って言った
「それなら尚更いい！一緒に旅に出ようか！」
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作者名：左側に注意 | 作成日時：2017年9月22日 23時
