６章。旅立ち前夜 ページ6
そうして旅立ちの前夜。
ちなみにあの二人は今日まで、ルムジムの家に泊まっていた。
「さて、鵺ちゃん。準備はできたかい？」
「嗚呼、もちろんじゃ！今からでもいけるぞ！」
ふんぬっ、という効果音のつきそうな様子に、男の人はくすりと笑った。
彼の名前は、フライア。
「え、ち、ちょっとまってよっ！私終わってないっ！」
慌てた様子で、バタバタとバッグに物を詰め込む女の人。
彼女の名前はアキ。
「もー…いつもアキは支度が遅いんだから。」
困った顔でため息をつくフライア。
「…いつもこんな感じなのか？」
二人ともジト目でアキを見る。
「う、うるさいわねっ！今回だけよ！」
「まぁ…待ってやろうかの。」
「鵺ちゃんは偉いね。僕はもう置いていこうかと思ったよ。」
「そこ、ひどいわね！？」
数十分後、
「準備できたわよ！行きましょうか。」
「いやぁ…化粧にものすごい時間かかってたねぇ」
「そうじゃな…わしもあんなに時間がかかるとは思わなかったぞ…」
やつれた顔の二人と、思い切ってテヘペロをしているアキ。
「「かわいくない/ぞ」」
「ひどいっ！！？なんでそこ二人とも辛辣なのよ！おかしくない！？」
「まぁ、茶番もこれくらいにして、そろそろ行こうか。」
「そうじゃな。一発目の船は誰かさんのお陰で逃したが、二発目の船は取れるだろう。」
「本当正直ね…」
そんなこんなで、三人は家を出た。
数十歩歩いた所で、突然、鵺は立ち止まった。
「ん？鵺ちゃんどうしたの？」
「いや、すまん。そういや、わし家の鍵閉めるの忘れておった。ちょっと待っとってくれんか。閉めてくるから。」
そして、急いで家まで走っていく。
「…これは…遅れる気しかしないな…」
「これであんたも何か忘れてたらどうしようもないわよ。」
「大丈夫、二人みたいにのんびりしてないからね。」
「……え？口調的にはあなたが一番のんびりしてるわよね？」
「そこには触れないの。」
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作者名：左側に注意 | 作成日時：2017年9月22日 23時
