十、 ページ10
Hokuto side
気の利いた言葉の一つや二つかけてあげられれば良かったんだけど、慎太郎と違って人付き合いの下手な俺にそんな器用なことはできなかった。
ただ京本の肩を抱いたまま暫くいると、のそりと顔を上げた。
大我「ほく、と、、」
北斗「うん」
続く言葉を待ったが、京本は逡巡するように少し俯いた。
北斗「…大丈夫だから。何でも言って良いんだよ」
俺の言葉に少し安心したのか、京本の肩の力がふっと抜けたのを感じた。
大我「昼間の鬼、さ、、ここを出る時、今度はちゃんと迎えに来るからって言ってたの、、
あの時慎太郎が来てくれなかったら、、俺、あの鬼に、っ、」
北斗「京本！」
だんだん息が荒くなってくる京本を見て、俺は喋るのをやめさせた。
あの場に俺がいてあげられてたら、京本は今こんなに怯えずに済んだかもしれない、なんてどうしようもない後悔が襲う。
北斗「…その先は考えちゃだめ。考えなくて良い。これからは俺と慎太郎がずっと側にいるから」
大我「、っ、、うん、ごめん北斗っ」
北斗「何で京本が謝るの。悪いのは全部樹だから」
背中をさすっていると落ち着いてきたようで、固く抱きしめていた布団からも手を離した。
大我「北斗、、ごめん、もうちょっとここに居てくれない、？」
北斗「いいよ。京本が満足するまでずっと付き合うから」
すると京本は何故か少し寂しそうな顔をした。
北斗「…どうした？」
大我「……何でずっと京本呼びなんだろうって」
北斗「えっ」
いや、これは、、だめだ。
大我呼びが恥ずかしいからなんて口が裂けても言えない。
俺が京本に好意を寄せていることは当の本人は知らないし、普通に気味悪がられるに決まってる。
万一受け入れられたとしても、結局五年後には京本はもとの世界に帰ってしまうのだから、言ったってしょうがない。
大我「北斗？」
北斗「…や、何となくだけど」
大我「じゃあ大我って呼んでよ」
北斗「…でも、今まで京本で来てたし」
大我「慎太郎は大我って呼んでくれてるけど。それなのに北斗が京本呼びは、ちょっともどかしいな」
むう、、。
そう言われると俺も何かちょっと悔しくなってくる。
俺の方が京本への気持ちは絶対強いのに、慎太郎の方が近しい感じなのは、やっぱり、悔しい。
大我「…それに、」
北斗「？」
大我「俺、捨て子だったからさ。『京本』は俺のじゃないんだ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 408人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2020年7月30日 22時
