真珠を溶かして (ページ36)

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三十六、ページ36

Yugo side

ジェシー「あ、こーち起きた」

目を覚ますと側には樹とジェシー、そして少し奥には知らない鬼がふたり。

…ああ、俺、また寝ちゃったんだ。

発作の頻度が高くなり一日中横になることが増えた俺の体力は、ここ一年で目に見えて衰えていった。

今じゃ発作が終わる度に力尽きて眠ってしまう。

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俺が屋敷を勝手に出てきた理由は、単に自分本位な不安の気持ちがあったから。

日に日に生気を失って動けなくなる俺とは対照的に、樹とジェシーが外出する頻度はどんどん増えた。

それが何のためかは分からないけど、この５年間いつもふたりが側にいてくれてぬくぬくと過ごしていた俺は、それだけでも十分不安になった。

もう諦められたのかもしれない。

俺をここまで幸せにしてくれたふたりに対して、心の弱い俺はそんな疑念を抱いてしまった。

それだけ不安だったし、病が怖かった。

もしふたりがいない間に発作が起きたら、俺は痛みよりも孤独で死ぬんじゃないかってくらいに。

・

樹「髙地。こいつらが病気治すの協力してくれるって」

髙地「…え」

そう言って樹は奥のふたりを指した。

髙地「…俺の病気って、もう治らないんじゃないの？樹とジェシーがあんなに頑張ってくれて、それでもダメだったんだから…」

樹「こいつらは俺らと違って専門家だ。上手くいけば治る…んだよな？」

北斗「ああ。今はまだ調べてみないと分からないことが多いけど、治る可能性はある」

髙地「っ、ほんと、？」

目の奥がジワジワと熱くなるのを感じる。

俺まだ生きられるの？
樹とジェシーと一緒にいられるの…？

ジェシー「それでね、治療のためにこーちにはしばらくこの屋敷にいて貰わなくちゃいけないんだけど…良い？」

髙地「…うん。でも会いに来てくれないと俺寂しいよ」

ジェシー「それは約束する！毎日来るから！」

髙地「ふふ、ありがと。樹もね」

樹「勿論」

俺らのやりとりを、奥のふたりの鬼は不思議なものを見る目で見ていた。

初めて来る屋敷での滞在に不安はあるけど、樹とジェシーの知り合いならきっと大丈夫。

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