真珠を溶かして (ページ28)

今日:21 hit、昨日:2 hit、合計:135,644 hit

二十八、ページ28

Juri side

髙地の気持ちが前を向いたからって、そう簡単に元気になる訳じゃない。

髙地の身体は酷い有様だった。

全身に散らばる青痣に、刃物で傷付けられたような痕。
痣は急所である鳩尾に集中していた。

そして左腿を裂くようについた大きな切り傷。

辛いことは聞かない方が髙地のためだと思い追求しなかったが、

『樹とジェシーになら、いいよ』

そう言って、話してくれた。

両親はとっくに他界していること。

生まれつき左足が弱いこと。

周りと比べて妙に身長が高かったため、気味悪がられ暴力を振るわれていたこと。

そして、得体の知れない病にかかっていること。

その発作に先に気づいたのはジェシーだった。

ジェシー『樹！！こーちが…！』

ある朝、ジェシーの切羽詰まった声に慌てて髙地のもとへ向かうと、布団の上で腹を押さえてうずくまっていた。

樹『髙地どうした！？腹が痛むのか！？』

髙地『…ぁ…じゅり……』

俺の声に顔を上げると、苦しそうにしながらも上衣をはだけた。

露わになった腹の表面には、手当てした時には無かったはずの黄色い斑点が痛々しく広がっていた。

樹『これって、、』

髙地『前にはなした、びょうき、、この黄色いのがでたとこが、痛みだして、…っあ゛あ゛！』

話すこともままならず、また身体を丸めて呻き出した。

苦痛の表情を浮かべ、痛みに耐えるように布団を握りしめる髙地。
気休めにはなるかと手持ちの痛み止めを飲ませたけど、効果はないみたいだった。

結局俺らは苦しむ髙地を前に何もしてやれず、発作が収まる頃にはすっかり日が暮れていた。

相当体力を消費したのか身体を起こすだけで一苦労し、壁にもたれて座るのがやっとの様子だった。

ジェシー『こーち、今までは発作が起こったときはどうしてたの？』

髙地『…何もしなかった。今日と同じで、ただ痛みが引くまでじっと待つだけ。周りの人には見て見ぬ振りをされていたし。

でも今日はいつもよりはマシだった気がする。…きっとふたりが側で看ててくれたからだね』

すっかり斑点の消えた腹をさすりながら、そう言って力なく笑った。

俺らがいることが助けになったなら何よりだけど、それでも発作中の髙地はあまりに苦しそうで見ているこっちも辛い。

俺とジェシーは、どうにかして髙地の病気を治せないかと頭を捻った。

.