第37話 ページ39
「Aさんは毒の嗜みはどれほどなのかしら」
『毒…何を食べても大丈夫な体ではあります』
「まあ!」
なんて素敵な体質!と褒められるが、喜んでいいものか複雑な気分だ。
気まずい気持ちで目の前のご馳走を食す。
テーブルを囲むのは私、イルミ、キキョウ、シルバ、ゼノ。
特にシルバとゼノのお二人を前にしていると圧が強くてですね…。
そんな気持ちを知らないキキョウさんは怒涛の勢いで質問を投げかけてくる。
普段の仕事は何をしているのか。
人を殺した経験はどれほどか。
拷問を受ける、または行う経験はあるのか。
キキョウさんとしても、ゾルディック家の長男に嫁ぐ者はしっかり見極めなければ安心出来ないのだろう。
イルミ曰く、今までも適当に相手は見繕ったが彼女のお眼鏡にかなわないという。
相手としてふさわしくないと判断した場合どうなってしまうか…その場で殺されてしまうのは容易に想像できる。
「イルミのどこが気に入ったの?」
『えぇ、と』
ちらりと横目で彼を見る。
気に入ったところなんて出会ったばかりなのにあるものか。
原作の彼を思い出してみる。どうにかそれっぽく…。
『色々ありますが、一番は家族思いなところ、でしょうか』
「…そう…」
あ、これ答え間違ったか?
キキョウさんが突然俯いてしまった。
原作でのイルミといえば、キルアへの偏愛があり、ゾルディック家のための行動は過激だ。
しかしそれは家族思いともいえる。
「…他には?」
『え、つ、強くて仕事熱心なところとか』
「そう、そうなのね」
俯いていたキキョウさんが今度はぷるぷると震え始めた。
私やばい?ミスってる?
「Aさん」
『は、はい』
「貴女、素晴らしい女性だわ!ゾルディック家に嫁ぐに相応しい!!」
キキョウさんが感激したように目をハンカチで抑えていた。
といっても、目には機械式のゴーグルをつけているため本当に泣いているのかはわからない。
えー、マジで?
「よかったね、母さんが認めてくれて」
『う、うん…そう、だね…?』
突然認められたことに戸惑う。そもそも嫁になりたいわけじゃないので喜べない。
いや、死を回避したと考えれば喜ばしい。
「あなた、お義父様。Aさんに異論はありますか」
「特にないな」
「うむ、実力はまだまだ未熟のようじゃが鍛えればよい」
黙って聞いていた男性陣も、大丈夫だと頷いた。
私でいいのか。意外とゾル家は女の見る目がないなと思った。
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推しの命は私の命 - 番外編だけでも書いてくれ (3月2日 21時) (レス) id: be6e33eff1 (このIDを非表示/違反報告)
あいす - クロロがドロドロしていて凄い刺さりました,,😭めちゃ面白いです!!応援してます!!!! (9月29日 13時) (レス) @page28 id: d200d8285a (このIDを非表示/違反報告)
ritsu(プロフ) - 次がすっごく楽しみです!!!頑張ってくださいね! (9月12日 23時) (レス) id: 09c2417c6f (このIDを非表示/違反報告)
みのる - 続きすごい楽しみです!!!待ってます!!! (9月11日 23時) (レス) @page48 id: b8a09115f0 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - めっちゃ面白いです!続き楽しみにしてます! (2023年5月3日 12時) (レス) @page48 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナキサ x他1人 | 作成日時:2021年8月27日 15時