第31話 ページ33
次元を超えるほどの量のオーラを、どのように手に入れれば良いのか。どれだけの人を殺さなければいけないのか。
…いっそ旅団に入れてもらえばよかったのかも。そうしたら難なく"食事"ができたのに。
そんな考えがうっすらと浮かび、首を振ってその考えを消す。
ダメだ、この世界に思考が侵されてきている。
この世界でも人を殺すことは勿論いけないことであるが、日本よりも物騒で人の死が近いことは確かだ。
流星街で生きていれば尚更だった。
死と隣り合わせで、感覚が麻痺したように、少しずつ歪み、狂っていく。
それが恐ろしくて、人を殺すことに何も感じなくなっていく気がして、逃げてきたというのに。
結局現状を見るに逃げ場はなさそうだ。
『…かえりたい』
ポツリと呟く。
誰もいない静かな空間に、孤独感に苛まれた。
日本に帰りたい。家族の元へ帰りたい。
その為には人を殺してオーラを奪わなければいけない。
『でも、いや…』
前の自分に戻りたい。
人の死をおとぎ話のように感じていたあの頃に戻りたい。
生臭くて、血がこびりついて、肉が切り裂かれて、骨を砕く音がして、生きようと踠いていた手足は固まって、瞳は何も写さなくなり、生き物がただの肉の塊へと変わる…。
そんなことを知らなかった自分に戻りたい。
その為には殺しをやめて日本に帰ることを諦めなければいけない。
日本に帰りたいという私の我儘と、多くの人の死が天秤にかけられ__
そして、それはゆっくりと傾き、答えが出てしまった。
自分はもう、マトモな人間じゃないのだと思い知り、諦めに似た小さな笑いを溢す。
『ハンターになろう』
せめてもの決断だった。
賞金首ハンターになれば、死ぬのは罪がある人間だけだ。
もっといえば、ハンターであれば殺人が免責されることが多く、賞金首を捕まえることに関しても、生死を問わないことが主である。
ハンターライセンスは便利であるし、とっておいて損は無い。
原作の年に試験を受けに行ってゴンやキルア達を一目見たい気持ちもあるが、関わると色々不都合がある。
それに、原作が始まるまであと10年ほどある。その期間を待つのは流石に惜しい。早く活動したい。
思い立ったが吉日だと、ハンター試験に申込書を送った。
740人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
推しの命は私の命 - 番外編だけでも書いてくれ (3月2日 21時) (レス) id: be6e33eff1 (このIDを非表示/違反報告)
あいす - クロロがドロドロしていて凄い刺さりました,,😭めちゃ面白いです!!応援してます!!!! (9月29日 13時) (レス) @page28 id: d200d8285a (このIDを非表示/違反報告)
ritsu(プロフ) - 次がすっごく楽しみです!!!頑張ってくださいね! (9月12日 23時) (レス) id: 09c2417c6f (このIDを非表示/違反報告)
みのる - 続きすごい楽しみです!!!待ってます!!! (9月11日 23時) (レス) @page48 id: b8a09115f0 (このIDを非表示/違反報告)
伊波トウナ(プロフ) - めっちゃ面白いです!続き楽しみにしてます! (2023年5月3日 12時) (レス) @page48 id: ce08f5279c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナキサ x他1人 | 作成日時:2021年8月27日 15時